貸し倉庫の相場を解説|選ぶポイントや倉庫のチェック項目も紹介

事業用で貸し倉庫を利用するときに気になるのが賃料の「相場」です。初期費用も「賃料の〇ヶ月分」といった具合に計算されます。広い倉庫を借りるとなれば、賃料も莫大です。目的を果たせる倉庫を見つけるには、どのように探せばいいのでしょうか。

貸し倉庫の相場の目安

まずは、貸し倉庫の相場から毎月の賃料や初期費用の目安を見てみましょう。

賃料

事業用の貸し倉庫は、基本的に坪あたりの単価が設定されており、それに面積を掛け合わせた金額が、毎月の賃料になります。

「坪」とは、かつての尺貫法で使われていた広さを表す単位で、一辺が六尺の正方形です。一尺が約0.30303メートルなので、一坪は約3.30578平方メートルになります。逆に1平方メートルは0.3025坪で、100平方メートルであれば30.25坪です。

東京23区の場合、坪あたりの単価は港区・中央区・世田谷区などの高いところで1万円以上、足立区や北区といった安いところでも6,000円以上が相場です。

郊外になれば多少は手頃になりますが、都心部からのアクセスを考えると、最低でも坪あたり4,000円以上は見込んでおいたほうが良いでしょう。200平方メートル(60.5坪)の倉庫なら242,000円になります。これに消費税を加えたのが毎月の賃料です。

もっとも、これは相場であり、同じエリアにあっても倉庫の状態によっては、もっと賃料が安く設定されているところも少なくありません。逆に築年数が浅くて高く設定されているところもあります。

倉庫の構造や場所、坪数、駐車場の有無などによっても賃料は変わってくるので、探す前に絶対に譲れないものと譲れるものを決めておくと、良い物件を探すことや手に入れることができるでしょう。

初期費用

貸し倉庫を新たに利用するとき、初期費用が発生するのは住宅用の物件と同じです。前家賃と保証金、礼金がかかり、ほかに仲介した不動産会社へ仲介手数料を支払わなければいけません。

都心部の場合、前家賃と礼金が賃料の1~2ヶ月分、保証金が3~10ヶ月分かかります。仲介手数料は1ヶ月分が目安です。
仲介手数料と礼金は賃料と同じく別途消費税がかかりますが、保証金に対して課税はされません。

保証金に幅があるのは、倉庫の使い道によるものです。単に倉庫として使うのであれば少なくなりますが、違う用途で使うと高くなります。特に飲食店としての転用は高めです。

なお、都心部以外のエリアや倉庫の状態によっては、初期費用のいずれかが無料だったり、低く設定されていたりします。

オーナーや仲介した不動産会社へ支払う初期費用は以上ですが、倉庫を使う際には、目的に応じた内装工事が必要です。居抜きで借りる場合を除いて、ほとんどの倉庫はスケルトンになっています。

食品のように温度管理が欠かせないものを保管するなら、配線や空調の設置、断熱など、大がかりな工事をしなければいけなくなるでしょう。

「安いから」という理由だけで決断するのは危険!

事業用に倉庫を借りるのであれば、賃料や初期費用が安いほど、収益を上げやすくなります。だからといって、賃料や初期費用を優先して倉庫を選ぶのは、おすすめできません。

賃料や初期費用が相場よりも安い倉庫は、借り手が見つからないから安くしている可能性があります。例えば、築年数が経っていたり、立地が良くなかったり、使い勝手が悪かったり、荷物の搬出入に必要な駐車場のスペースが無かったりするなどです。

このような倉庫を借りてしまうと、不満が生じたり、トラブルに見舞われやすくなったりします。築年数や使い勝手は内装工事である程度カバーできるかもしれませんが、立地や敷地の広さはどうしようもできません。

それで思ったとおりに収益が上がらなければ損ですし、すぐに退去すれば初期費用が無駄になってしまいます。さらに退去時は原状回復しなければいけません。賃料や初期費用の安さだけで倉庫を選ぶのは危険です。

倉庫を借りるときは、必ず内見をして、目的に合っているかチェックしましょう。駐車場はあるか、邪魔になる障害物は無いか、配線や空調の設置は可能か、どれくらいの重さまで保管できるか、使用時間に制限は無いか、などです。

特に、諸造作を行う場合、法的に可能であっても、貸主の許可が得られないこともあります。
また、法令遵守の観点からは建物の遵法性(建築確認、検査済証の有無、違法増築の確認等)も確認しておきましょう。

もし、賃料で折り合いがつかなければ、オーナーと交渉すると、多少は安くしてもらえる可能性があります。倉庫は空いていても維持管理費や税金が発生するため、オーナーとしては早く借りてくれるほうが有難いからです。

貸し倉庫を契約する際の注意点

貸し倉庫を契約する際には、次のような点で注意が必要です。

保証金

事業用物件の賃貸借契約を締結する際には、保証金の支払いを求められるケースがあります。保証金というのは、賃料未払いや 修繕が必要になったときに備えてあらかじめ預かっておくものです。

住居用の賃貸物件の敷金とほぼ同じ性質のものと捉えて良いでしょう。契約終了時に修繕の必要がなかった場合や、余った場合などには返還されます。

ただ、事業用物件の保証金は住居用物件の敷金より高めで、貸し倉庫なら賃料の3~6ヶ月分が相場です。
借りようとしている貸し倉庫で、保証金の有無と金額を確認しておきましょう。

設備の補償

貸し倉庫などの事業用物件の賃貸借では、住居用物件と違って、設備の修繕費用を借主が負担するのが一般的です。そのため、入居前にエアコンなどの残置物がある場合には、修理費用や維持管理費用の負担を求められることもあります。

残置物に関して動作確認を行い、修理費用や撤去費用などについて、誰がどこまで負担するのか確認しておきましょう。

契約書

貸し倉庫の契約を決める前に、その貸し倉庫の中の状況や設備などについて、よく確認するはずです。しかし、それでも契約後に設備の不具合などの瑕疵(かし)が見つかる場合もあります。

瑕疵が見つかった場合には、安心して商品を保管することができません。瑕疵に気づかず、保管しておいた商品の品質を損ねてしまうこともあるでしょう。

損害が発生したことで、貸し倉庫の貸主と揉めてしまうこともあるかもしれません。契約を解除して別の貸し倉庫を探したくても、難色を示されてしまう可能性もあります。

そのため、貸し倉庫の賃貸借契約を締結する際には、必ず契約書を作成しておかなければなりません。そして、契約書には解約や更新原状回復などにかかわる費用負担について明記しておきましょう。

自社に合った貸し倉庫を探すポイント3つ

なるべく自社に合った貸し倉庫を見つけるには、賃料以外にも重視したいポイントが3つあります。

希望条件を明確にしておく

「事業拡大のために商品や資材を保管できるところを増やしたい」など、貸し倉庫を必要とするのは、何らかの目的があるはずです。当然、倉庫は目的を果たせるものでなければいけません。

単に荷物を保管するだけなら、それほど条件は多くありませんが、品質を保ちたいのであれば空調や温度の管理が必要になります。自由に配線できて、ダクトを設置できなければいけません。

また、効率よく荷物を運搬したいのであれば、アクセスの良さは必須です。立地が悪いと、遠回りしなければいけなかったり、渋滞に巻き込まれたりするなど、タイムロスになります。もちろん、搬出入も導線が確保できていなければいけません。梁や段差、間仕切りなどの障害物があるようでは非効率です。

重いものを保管するときは、床の耐荷重もチェックしないと、広さの割に量を保管できない破目に陥ります。

これらを曖昧にしたまま内見すると、問題点に気づかず、使い始めてから後悔する原因となります。そうならないように、必ず内見までには希望の条件を明確にしておきましょう。

早い段階から物件を探す

急に倉庫が必要になっても、すぐに希望の物件が見つかるとは限りません。急ぐあまり、妥協して空いている倉庫を選んでも、目的に合っていなければ、やはり後悔する原因になるでしょう。

まずは、倉庫を稼働させたい日を確定し、そこから逆算してスケジュールを決めます。倉庫を稼働させるためには、最低でも内装工事と従業員の確保が必要です。倉庫の使い方によっては、関係省庁に提出する書類の準備なども生じるでしょう。事業の規模にもよりますが、遅くても2ヶ月前までには賃貸借契約を済ませておきたいところです。

物件探しは日数をかけるほど目的に合ったところを見つけやすくなります。半年から1年ほどかける会社もあるほどです。ただし、あまりにも賃貸借契約を結ぶのが先過ぎると、ほかの希望者に取られる恐れがあります。

そんなときは、使用中で退去予定日が決まっている物件であれば、スケジュールを組みやすくなるでしょう。その代わり、スケルトンの状態で内見できないため、物件の構造は図面などで念入りに確認することをおすすめします。

信頼できる不動産仲介業者に依頼する

不動産の仲介業者選びも大事です。倉庫に特化した仲介業者であれば、豊富に物件を保有しており、短期間でも希望に合った物件を見つけやすくなります。

タープ不動産情報もそのひとつです。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の貸し倉庫の情報を豊富に保有しており、弊社サイトではこだわりの条件で検索できます。さらに会員になると、新たな物件が登録されるたびにメールで配信される仕組みです。

仲介にあたっては、目的に合った物件を紹介するのはもちろん、どのような倉庫が合っているのか分からないときも、これまでのノウハウからアドバイスさせていただきます。改修や原状回復も弊社で行えるのが強みです。

都心部で貸倉庫をお探しの際は、ぜひご相談ください。

倉庫を内見する際のチェック項目

良さそうな貸し倉庫を見つけて内身をする際に、チェックしておくべき項目について見ていきましょう。

倉庫出入口の幅と高さ

出入口が狭いと荷物の搬入がスムーズにできず、業務効率が悪くなってしまうこともあります。そのため、出入口の幅と高さを計測して充分な広さかどうか確認しておきましょう。

倉庫全体の広さと天井の高さ

倉庫の中の広さをチェックし、用途に合うかどうかチェックしておきましょう。狭すぎると倉庫内で通路を確保できなかったり、思うように荷物を保管できなかったりすることもあります。
また、面積だけでなく、天井の高さも重要です。大型の荷物などは、天井が低いと搬入や保管が難しい場合もあります。

倉庫内に梁があるか

天井の高さは充分でも、梁が邪魔になって大型の荷物を保管できないケースも見られます。そのため、梁の有無も確認しておきましょう。

駐車場があるか

倉庫に荷物を搬入するときや搬出するときにトラックを使う場合には、駐車場があるかどうかチェックしておきましょう。大型のトラックを使用する場合には、駐車スペースの広さも重要です。

床荷重

倉庫に荷物を保管する際には、広さだけでなく重さも考慮する必要があります。これは、保管する荷物の重量によっては床が抜けてしまう可能性もあるためです。倉庫の床がどの程度の重さまで耐えられるのか確認しておきましょう。

電気の容量

倉庫に荷物を搬入するときなどにはフォークリフトを使うことがあります。その場合には、電気の容量が充分かどうかチェックしておきましょう。

もし、電気の容量が不十分な場合には、借り主が費用を負担して引き込み工事を行うことになります。

倉庫内の温度・湿度

保管する荷物の種類によっては、温度や湿度なども重要です。空調設備が備わっているかどうかチェックしておきましょう。
特に、湿度が70%以上になるような環境だとカビが発生しやすいため要注意です。

収納できない荷物の確認

貸し倉庫は何でも収納できるとは限りません。利用規約などにより、収納してはいけない品物を定めている貸し倉庫もあります。
事前に貸し倉庫の利用規約を確認しておきましょう。

まとめ

貸し倉庫の賃料や初期費用の相場は、エリアや倉庫の状態によって異なります。
東京23区を例にあげると、坪あたりの単価は港区・中央区・世田谷区などの高いところで1万円以上、足立区や北区といった安いところでも6,000円以上が相場です。 確かに安いほど、収益は出しやすくなりますが、目的を果たせなければ意味がありません。

目的を果たせて、予算内に収まる物件を見つけるには、倉庫に特化した仲介業者に依頼するのがおすすめです。豊富な物件の中から、条件に合った倉庫を見つけてくれるでしょう。