使わない町工場はリノベーションがおすすめ!事業用不動産投資のコツ

「古い町工場をなんとか活用できないか」と考えたとき、売却してしまうのも方法として考えられますが、売却以外の方法もあります。たとえば、リノベーションをして活用する方法です。

この記事では、町工場のリノベーションとはなにか、基本的な概要と具体的なメリットや注意点について解説します。

リノベーションとは

一般的なリノベーションとは、既存の一部を利用して、新しい何かを創り上げることです。不動産におけるリノベーションとは、老朽化した建物、または部屋を改修し、修復あるいは再生させることを指します。

まずは、リノベーションについて理解を深めていきましょう。

リノベーションの意義

不動産のリノベーションは、単に既存の建物を修繕して原状回復を図ることではありません。
前述したように、大規模な工事により、建物の原状回復に加え、増改築や用途変更などを行い、資産価値を高める大規模な改造をすることをいいます。

耐火性、耐震性、安全性、省エネ、バリアフリー化などの機能面を向上できるほか、デザイン性の向上など、需要に合った改修が可能なことが特徴です。

リノベーションを行うことによって、不動産を建て替えることなく有効活用できるようになるでしょう。

リフォームとの違い

リノベーションとよく似た言葉に、「リフォーム」があります。

一般的に、リフォームが表すのは、古い建物を修繕して元の状態(新しい状態)に戻すことです。建物を原状回復する意味で、リフォームはよく使われています。工事によって資産価値が向上する点が、リノベーションとは異なる部分です。

また、原状回復をする以外にも、設備を入れ替えるような小規模な工事で建物を改修することを、リフォームと呼ぶ場合もあります。

いずれにしても、リフォームも、リノベーションも定義はあいまいです。一般的なイメージは、リフォームが小規模、リノベーションは建物のほとんどを改修するような大規模な工事ですが、同じ意味で使われることもあります。

町工場のリノベーション例

町工場は、修繕、いわゆるリフォームをして町工場として利用する以外にも用途があります。
リノベーションすれば、町工場以外の使い方も可能です。たとえば、リノベーションにより、町工場からオフィス、倉庫、カフェ、あるいは住宅として利用するケースなどがあるでしょう。

例えば、住宅へのリノベーションでは、一般の住宅と比べて大きな空間が確保できるため、通り庭を作ったり、ロフトを設置したりすることができるでしょう。開放感のある家づくりが実現します。大きく切り開いてバッファゾーンを作ることも可能です。

カフェに転換するなら、町工場特有の懐かしい雰囲気と広さを活かした空間づくりができます。あえて鉄骨の骨組みや屋根のトタンを残し、インダストリアル感を出すことでユニークなカフェをアピールした事例があります。
廃材はカウンターやテーブルなどに利用することも可能です。広いバルコニーなどがあれば、お店のテラス席などにも活用できるでしょう。

ほかにも、広大な敷地を活かした多種多様な用途があります。いずれもある程度の広さと高さを有する町工場ゆえに実現できるもので、雨天時も利用できるメリットがあげられます。用途に合わせて窓やシャッターを追加したり、撤去したりできる自由度も、リノベーションにおける町工場の強みです。

ちなみにタープ不動産情報では、多面的な利用が可能な工場や倉庫のことを「アクティブ空間」と呼んでいます。

町工場のリノベーションで期待できるメリット

次に、町工場をリノベーションするとどのようなメリットがあるのか、期待できるメリットを6つ紹介します。

不動産の有効活用と資産価値向上

町工場のリノベーションによるメリットは、利用価値がないと思っていた、使っていない不動産に新たな命を吹き込めることです。古い町工場は、そのまま所有していても、事業で使用しない限り収益を生み出しません。

しかし、リノベーションによって新たな命を吹き込むことで、町工場以外の活用方法が見えてきます。リノベーションで機能面を強化することによって、資産価値の向上が期待できる点は大きなメリットといえるでしょう。

広い空間を求める事業者からの需要がある

一般的な町工場の特徴として、「天井が高く壁が少ない」という点があります。空間を広く利用できるため、開放感があるでしょう。

町工場のような広い空間は、事業者からの一定の需要が見込める物件です。理由は、オフィスやカフェ、倉庫など、開放感や使いやすい空間を必要とする事業者も多いためです。町工場をリノベーションすれば、一棟貸しができる可能性も出てくるでしょう。

長期契約による安定した収益が期待できる

住宅の賃貸は、通常、個人が利用するケースが多いです。個人の場合、それぞれの都合で借りることになるため、短い入居期間で契約が終了することもあります。

一方で、町工場を収益物件にしたときに、町工場を借りようとするのは、ほとんどが事業者です。この場合、事業を続ける限り物件の利用が見込めるため、住宅用の不動産と比較して、長期契約が一般的となります。

長期契約によって、収益物件のリスクである空室リスクを抑えることができ、安定した収益を期待できる点も、町工場をリノベーションするメリットだといえるでしょう。

建て替えよりコストを軽減できる

町工場を別の用途で利用するために、土地をいったん更地にして、新しく建物を建てる方法もあります。しかし、建て替えとなると、建物の取り壊し費用に、新たな建設費用と、多大なコストがかかるでしょう。

リノベーションは既存の建物を利用する方法なので、建物をすべて取り壊す必要もなければ、基礎から建物を建設する必要もありません。完全に建て替えるときと比べると、建物にかかる費用を抑えられます。

住宅用より、立地の影響を受けない

収益用の住宅の場合、リノベーションをしても立地によってはなかなか契約まで至らなかったり、家賃を下げざるをえなかったりと、運用までがスムーズにいかないこともあります。なぜなら住宅の場合、立地が重要なポイントとなるためです。

しかし、町工場、あるいは町工場をリノベーションした事業用の物件であれば、用途にもよりますが、必ずしも駅近である必要はありません。住宅ほどには立地の影響を受けないためです。
住宅として利用するには不安がある立地であっても、事業用なら一定の需要を見込めることがあるのも、町工場の強みだといえるでしょう。

古さを活かした個性ある物件作りが可能

古い町工場ならではの雰囲気が個性になることもあります。

使わなくなった廃材、モルタルの床など、古い町工場の雰囲気は、使い方次第でレトロさやヴィンテージ感を引き出せるためです。町工場のリノベーションは、ほかとは違う、個性的な物件作りも可能です。

町工場のリノベーションの注意点

このように、町工場をリノベーションして活用することには、さまざまなメリットがあります。

しかし、メリットばかりではありません。やみくもにリノベーションしては、かえって失敗することもあるでしょう。

この項では、町工場をリノベーションする前に知っておきたい注意点を紹介します。

用途変更手続きが必要な場合がある

町工場をリノベーションによってオフィスや事務所に転用する場合であれば、基本的に用途変更の手続きは必要ありません。しかし、町工場をカフェや住宅などに用途変更する場合は、用途変更確認申請手続きが必要です。

リノベーション後の使い道によっては、手続きをともなうこともありますので、注意しましょう。リノベーションで不動産の活用方法を変更する前に、手続きについて確認しておく必要があります。

また、土地によっては用途を制限されることがあります。

注意したいのは、用途地域といって、建物の用途や高さなどに制限が定められている市街化区域などです。用途地域は13種類に分類され、種類によっては転用が難しい用途もありますので、必要な手続きとあわせて確認しておきましょう。

地域に合った物件へリノベーションする

リノベーションを施しても、肝心な需要がなければ町工場を有効活用することはできません。リノベーションは、地域や周辺環境に合わせて行うようにしましょう。

たとえば、工場の多いエリアであれば、カフェやオフィスにリノベーションしても、賃借人がなかなか決まらないこともあります。工場地帯で町工場をリノベーションするなら、工場を所有するような事業者が利用できる、倉庫へのリノベーションが適しているでしょう。

以上のように、リノベーションは、周辺にどのような建物が多いエリアか、どのような需要が見込まれるか、しっかり計画して実施する必要があります。

あくまでも築年数自体は古い物件である

リノベーションで見た目が美しくなったり現代的な間取り・設備になったりしても、建物自体の築年数は古い物件である点に変わりはありません。リノベーションした町工場の賃貸や売却を検討した場合、ネットで検索されるときに築年数の条件検索ではじかれてしまうことを理解しておきましょう。

想定よりもリノベーションの費用がかかる場合もある

リノベーションは単純に用途を変えたり見た目を美しくしたりするだけではなく、下水管や配管など見えない部分の古くなった機能を回復させることも含みます。躯体にダメージがある場合はまず構造的な修繕を行う必要があり、予想外の費用がかかることがあります。

工事にともなって壁や床を剥がした後に発覚する故障・劣化もあるため、ダメージのある部分によっては事前調査の段階で想定していた以上の修繕費が発生します。

リノベーションを依頼する不動産会社の選び方4点

リノベーションの成否を分けるポイントのひとつが、依頼する不動産会社の質です。単純にお金をかければ良いものができるとは限りません。依頼先の質が要望にマッチしていれば、余計な費用をかけず満足のいくリノベーションをすることもできます。

リノベーションを依頼する不動産会社の最適な選び方として、次にあげる4つのポイントを意識しましょう。

1.豊富な実績とノウハウを持っているか

安心してリノベーションを依頼するためには、不動産会社の施工実績を重視すべきです。まずは検討している不動産会社の過去の実績や施工事例をチェックしましょう。

・どのような施工が得意か
・施工内容で最も多い事例は何か
・費用感と施工内容のバランスは良いか

上記のように、さまざまな視点から実績や施工事例を見ます。

希望する施工と似たような実績が豊富な会社であれば、安心して任せることができます。また、施工事例からはデザインのニュアンスも確認しておきましょう。

仕上がりや費用感、利用者の声などさまざまなポイントから信頼できる不動産会社かどうかチェックしてください。

2.会社の得意分野とリノベーションの内容が合っているか

不動産会社やリノベーション会社には、それぞれ得意分野があります。施工事例や経営理念、経営者・スタッフの経歴などから、会社の得意分野を探りましょう。

希望に合ったリノベーションを実現するためには、依頼先と施工内容・イメージのマッチングを重視しなくてはなりません。たとえばアクティビティ施設を作りたいのであれば、住宅やオフィスへのリノベーション実績しかないところよりも、似たような設備や施設の施工実績がある会社が最適です。

3.打ち合わせやフォロー体制がしっかりしているか

信頼できる会社かどうかは、打ち合わせの段階で知ることができます。例として以下の特徴がある不動産会社は誠実と言えます。

・基本的なことができている
・打ち合わせが細かい
・見積もりや相談などの対応が丁寧
・依頼者の要望をよく理解してくれる

たとえば問い合わせに的確に答えてくれたり、時間どおりに打ち合わせできたりと、基本的な対応がきちんとできている会社は信頼できます。

更に見積もりや相談などの対応に丁寧かつ、依頼者の要望を可能な限り叶えようとしてくれる会社であれば、予算内で理想的なリノベーションを実現してくれるでしょう。

4.アフターサービスが充実しているか

アフターサービスの有無や内容も重視すべきポイントです。リノベーション会社の中には、設備不具合の無償点検や定期訪問サービスなど、長期保証を設けているところもあります。

きちんとアフターサービスを設けている会社は、いざというときに頼りにでき、長い付き合いにつながります。

事業用不動産に特化したタープ不動産情報であれば、町工場のリノベーションも専門家がワンストップでサポート可能です。複数の窓口や会社を尋ねる必要がないため、時間的節約にもなります。

町工場のリノベーションに関するサポート実績も豊富なため、まずは一度タープ不動産情報へご相談くださいませ。

まとめ

古くなった町工場は、リノベーションによって資産価値を上げることで、有効活用できることがあります。

リノベーションを検討するなら、まずは事業用不動産のリノベーションや活用方法に詳しい専門家に相談すると良いでしょう。