【土地の賃貸借】土地を貸すと消費税は発生するのか?

「更地になっている土地をうまく有効活用できないか」と考えている土地オーナーであれば、土地活用に関するさまざまな情報をチェックするものです。その際、気になる事柄のひとつとして消費税に関する問題があるでしょう。

この記事では、土地の賃貸借における消費税について解説します。現在、所有している土地の有効利用を考えているオーナーは、記事の内容を参考にしてください。

原則として土地の賃貸借に消費税はかからない

購入して消費する場合と同様に、レンタカーといった物の賃貸借も消費税の課税対象となります。

土地活用や借地事業に詳しくなければ、「レンタカーが課税対象となるのであれば、同じように土地の賃貸借にも消費税がかかるのでは?」と考えるかもしれません。

しかし結論からいえば、原則として土地の賃貸借には消費税はかかりません。土地の賃貸借は、法律で非課税と規定されています。

土地と消費税の関係については、土地が消費に値するかどうかで考えると分かりやすいでしょう。

土地は、レンタカーや建物といった「物」とは違い、消費の性質がない資産です。土地を貸し出したからといって、土地の価値が貸し出した期間に応じて減少することはありません。土地の賃貸借は「消費」ではなく「資産の移動」と考えるため、消費税が発生しないのです。

なお、土地には、土地の上にある権利、たとえば地上権、地役権、永小作権も含まれます。これらの土地の上にある権利は、土地と同じ扱いで、地代同様に消費税がかかりません。

以上のように、土地の賃貸借において消費税は原則かかりません。

しかし、例外的に消費税がかかるケースがあるので注意が必要です。詳しくは次項で解説します。

【注意!】土地の賃貸借で例外的に消費税がかかるケース

土地の賃貸借において、例外的に消費税がかかるケースについて解説します。土地活用で失敗しないためにも、それぞれのケースをよく確認しておきましょう。

土地の一時的な貸付け

土地を一時的に貸付けた場合、消費税の課税対象となります。

一時的な貸付けかどうか、判断基準となるのは貸付けの期間です。1ヶ月を超えて貸付けを行う場合は原則どおり非課税ですが、1ヶ月未満の土地の賃貸借には消費税が課税されます。

短期間の貸付けの場合、土地の貸付けではなく、物を保管するためのサービス(駐車場など)の提供だと考えられるためです。サービスの提供には消費税がかかります。そのため、たとえ土地のみの貸付けであっても、一時的であれば消費税の対象になるのです。

なお、貸付けの期間をどのように判断するについてですが、実際の貸付けの期間が判断基準とならない点に注意しなければなりません。消費税の課税において、貸付けの期間は、契約で定めた期間により判断されます。

延長などで実際の貸付けの期間が1ヶ月以上であったとしても、契約書に期日が1ヶ月未満と記載されていれば、一時的な貸付として消費税の課税対象になるため注意が必要です。

施設利用をともなった土地の貸付け

施設の利用をともなった土地の貸付けと判断された場合も、消費税がかかります。駐車場の貸付けが代表的な例です。

駐車場の貸付けには3つのパターンがあります。

1つ目は、舗装など何も手を加えない状態で更地を駐車場として貸し出すパターンです。青空駐車場ともいわれます。

借主がたとえ駐車場として利用したとしても、オーナーからすればただ土地を貸しただけです。青空駐車場として更地を貸した場合は、消費税は課されません。

ただし、貸主であるオーナーが駐車区画をロープで区切るなど、なんらかの手を加えた場合は土地のみの貸付けとはみなされません。施設の利用をともなった土地の貸付けとして、消費税の課税対象になるので注意しましょう。

2つ目のパターンは、貸した土地に借主が駐車場を作って使用した場合です。借主が全額を負担して施設を整備した場合は、貸主の負担はありませんし、どのように使われようと、契約内容が守られている限り貸主は看過するだけです。

貸主が手を加えておらず、ただ土地を貸しただけと判断できるため、このパターンでも消費税が課税されることはありません。

3つ目のパターンは、貸主が駐車場整備のための費用を負担して、借主に土地を貸した場合です。
駐車場として利用する点は2つ目のパターンと同じですが、駐車場整理の費用を負担した人が貸主という部分で異なります。貸主が土地ではなく、土地を整備したあとの施設(このケースでは駐車場そのもの)を貸したと判断されますので、消費税の課税対象です。たとえば、アスファルトや砂利を敷いた土地を月極駐車場として貸し出す場合などです。

なお、今回は駐車場を例にあげましたが、野球場やテニスコートとして貸し出す場合なども考え方は同じです。更地のまま貸し出すのであれば土地の賃貸借ですが、野球場などを目的に整備してから貸し出す場合は施設の貸し出しになります。

建物と土地の賃料を区分した賃貸借契約

土地の賃貸借と異なり、建物の賃貸借は例外を除き課税対象です。例外になるのは、個人に住居用の建物を貸したときです。
土地と同じく1ヶ月未満の貸し出しは課税対象になりますが、通常、消費税は課されません。

一方で、住居用ではない事業用の建物は課税対象です。事業用の建物を貸す場合、建物が立っている土地も貸すことになりますが、この場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

土地と一緒に事業用の建物を貸した場合、当然建物には消費税がかかります。注意すべきなのは、土地を含めて消費税の課税対象となる点です。

事業用の建物と土地を貸し出し、賃料を建物と土地で区分した賃貸借契約書を結んだ場合はどうなるのでしょうか。この場合、建物と土地の賃料が明確なので、「土地の賃料分は消費税を抑えられる」と思う方もいるかもしれませんが、契約書で区分しても非課税にはなりません。

たとえ契約書で賃料が区分されていたとしても、家賃の全額が消費税の課税対象になります。消費税を抑える目的で区分したとしても、土地の部分だけ非課税にはできないので注意しましょう。

借地事業の消費税問題は専門家への相談がおすすめ

ここまでは、土地の賃貸借にかかる消費税について解説しました。土地と消費税の仕組みは複雑でわかりにくい部分も多いので、土地活用で失敗しないためにも専門家へ相談するのがおすすめです。

とくに前述した事業用に関する土地活用については、事業用不動産に強い専門家を頼ると安全です。

事業用不動産に特化したタープ不動産情報なら、消費税をはじめ、土地活用の問題に関して的確なアドバイスができます。駐車場経営など、検討中の借地事業が消費税の課税対象になるかどうかの見極めも、豊富な知識と経験をもとにサポートが可能です。

現在、土地の賃貸借を検討中でしたら、ぜひタープ不動産情報へご相談ください。

まとめ

土地の賃貸借については、通常は消費とみなされないため、原則として消費税はかかりません。しかし今回記事でも紹介したように、例外的なケースもあります。

現在、所有している土地の賃貸借を検討中のオーナーは、土地活用で失敗しないためにも、消費税の仕組みについて確認をしておきましょう。

駐車場経営や事業目的などの場合、思わぬところで消費税の課税対象となる場合があります。借地事業に詳しくないようであれば、土地活用の専門家に相談すると安全です。