工場を売却したい!需要はある?どのような手続きが必要?

保有するだけで活用できていない不動産は、固定資産税などただコストがかかるばかりになってしまいます。事業のうち閉鎖した工場があって、工場をどうすれば良いかわからないオーナー様もいるのではないでしょうか。

この記事では、使わなくなった工場を売却する方向に焦点を当てて、需要や必要な手続きについて紹介します。

工場を売却するメリット

使わなくなった工場を売却してみるべきか、一度は検討されたこともあるのではないでしょうか。工場を売却するメリットには何があるのでしょう。まずは、工場を売却する方法について説明します。

工場を解体して売却するのか、建物ごと売却するのか

工場の売却方法はふたつあります。工場を解体して売却する方法、あるいは解体せずに工場のまま売却する方法です。

■解体して売却する場合
工場を解体して、更地にしてから売却します。更地での売却は住宅地の建設など、さまざまなニーズに応えられる可能性がある一方で、多額の解体費用がかかるのが難点です。

■建物ごと売却する場合
工場を解体せずに、建物を残したまま売却する方法もあります。解体して売却するときのように、建物の解体コストはかかりません。

工場は事業用不動産

工場の売却には、建物を残したまま売却する方法があると説明しました。ここで、工場のオーナー様が不安に感じるのは、「建物を残したままで本当に売れるのか?」ということだと思います。

住宅地への転換も含めた売却のしやすさを考えると、解体したほうが良いのではと感じるかもしれません。しかし、そのような不安は杞憂に過ぎません。工場は事業用不動産であることから、建物ごと売却でもさまざまな理由で買い手がつく可能性があるためです。

工場を建物ごと売却することのメリットには、以下のようなものがあります。

■居住用不動産のリスク
工場を更地にすることのメリットは、居住用不動産の建設を含めた幅広い用途にあります。しかし、居住用不動産に向かない場所だと、大きなメリットはありません。

高齢化や人口減少の流れにより、居住用不動産は供給過剰で、空室リスクが高いためです。よほど立地条件が良くない限り居住用不動産としての価値は下がってしまうので、居住用不動産以外の建設にも対応できるよう、あえて解体する必要はないと考えられます。

売却せずに工場のまま貸す場合、借り手は事業者になりますので、平均入居期間が10年や20年と長く安定して賃料を得られるのもメリットといえるでしょう。

■さまざまな活用方法
工場は、工場や倉庫として利用する以外にも、車庫やカフェ、ドラッグストア、アミューズメント施設など、さまざまな用途に転換できます工場だった建物を活用したいと考える事業者のニーズがあるため、建物のまま売却しても買い手がつく可能性は高いです。

大きな工場だけでなく、たとえ車が1台置けるほどの物件であっても、倉庫や車庫としてのニーズに対応できます。

■ローコストのメンテナンス
物件の購入者が設備を用意するため、売却で値を付けるためだけに外装や内装に手を加えるなど、リニューアルを行う必要はありません。メンテンナンス費用を抑えつつ売却できます。

■立地は居住用不動産ほど重要視されない
居住用の不動産は、建物が古い、駅から遠いというだけでマイナスポイントになります。一方、事業用不動産として売り出す建物は人が住むことを前提としないため、居住用不動産ほど立地や建物の古さは重要視されません。

工場を売却する手続きの流れ・必要な書類

ここまで工場として使っていた建物を残したまま売却することのメリットを紹介してきました。売却については、どのような流れで行うのでしょうか。売却の手続きと必要な書類を説明します。

問い合わせから売却までの流れ

1.問い合わせ
売却したい不動産について業者が問い合わせを受け、大まかな要望をオーナーへヒアリングします。

2.不動産業者がオーナーの元へ訪問
物件周辺の事前調査のあと、不動産業者が物件オーナーを訪ね、建物の状態や過去の制約事例などを参考に提案書を作成します。売却金額に合意があれば募集条件確定です。

3.物件の募集
売却の募集をかけられるようにするために、不動産業者とオーナー間で媒介契約を締結します。物件の募集は、紙媒体での募集、インターネット募集がメインです。

4.案内
募集中の物件に興味を持った購入希望者がいれば、不動産業者が物件の個性や魅力を伝えるなど、購入につながるよう案内します。

5.買付
購入の申し込みがあれば不動産業者が対応します。申し込みの受付に続いて、調査会社と連携し入居者審査を行います。

6.契約
購入希望者と物件オーナーの合意のもと、不動産業者が覚書、契約書を作成します。
手付金受領

7.   引き渡し及び残金精算

8.アフターフォロー
売買後も双方が安心できるよう、アフターフォローのサービスを行っている不動産業者もあります。

工場の売却手続きに必要な書類

工場の売却手続きには、以下のような書類が必要です。図面のようにすぐに準備できるものもあるかと思いますが、法務局で取得する書類などもありますので、スムーズに売却手続きができるよう早めに準備しておきましょう。

・建物図面
・登記事項証明書
・不動産の権利書(2005年以前の建物は登記済権利証、以降は登記識別情報通知書)
・固定資産税の納税通知書
・建築確認済証
・工場・指定作業場廃止届出書(控え)

工場を売却する際の注意点

この項では、工場を売却するときの注意点をいくつか説明します。

媒介契約の違いを理解する

不動産業者との媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。

■一般媒介契約
一般媒介契約は、直接売買のほか、複数の不動産業者との媒介契約可能です。すでに工場売却のために媒介契約を結んでいた場合であっても、ほかの不動産業者と契約を結ぶことができます。自由度の高い契約の方法ですが、ほかの契約形態で義務付けられている物件オーナーへの報告義務、契約期限の制限がありません。

■専任媒介契約
専任媒介契約では、媒介契約を結べる不動産業者は1社に絞られますが、引き続き物件の購入を希望する人との直接契約も可能です。契約の有効期限は3ヶ月以内、不動産業者には2週間に1回の物件オーナーへの業務の報告義務が課されています。

■専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、直接契約不可、媒介契約を結べる不動産業者1社のみの契約形態です。契約の有効期限は専任媒介契約同様3ヶ月以内、不動産業者の業務の報告義務はさらに厳しく1週間に1回となります。

このように、不動産業者との媒介契約には3つの方法があります。一般媒介契約は自由度が高いですが、より満足度の高い媒介契約を結ぶなら専任媒介契約や専属専任媒介契約を検討されるのが良いでしょう。

なお、専任媒介契約、専属専任媒介契約いずれも、専属専任媒介契約で直接契約を結ぶなど契約違反が起きた場合に違約金が請求されることがありますので注意が必要です。

信頼できる工場の不動産業者を選ぶ

工場を売却する場合、信頼できる不動産業者を選ぶことも重要です。信頼できるかどうかは、以下のような項目を見ることである程度判断できます。

・事業用不動産を専門に取り扱っている不動産業者か
・専任媒介契約の取扱い物件が多いか
・募集だけでなく管理も行なっているか
・販売実績があるか
の4点です。

販売実績については、業者のホームページや一般のレビューなどをはじめ、インターネットでの下調べは必須といえるでしょう。

トラブルなく売却できるようにするには、販売力だけでなく、売却したあとのアフターフォローが充実しているかに注目すると良いです。

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まとめ

使用しなくなった工場の売却は、更地にして売り出すほか、建物を残したまま売り出す方法があります。工場の建物活用は、倉庫やカフェ、店舗などさまざまな用途にできることから、注目されており需要のある活用方法です。売却をお考えなら、建物そのままで売り出すことも検討されてはいかがでしょうか。