貸工場・貸倉庫 不動産会社の管理でチェックする4つのポイント~②トラブルがあった場合の対応

タープ不動産情報です。
前回に引き続き、不動産会社の管理でチェックするポイントを
お伝えします。今回は「トラブルがあった場合の対応」です。

「賃料の支払いが遅れている」
「テナントが無断で又貸しした」
「工場が発する騒音に近隣住民からクレームがあった」

賃貸借契約を続けている間には、多かれ少なかれこのような何らかの
トラブルが発生する可能性があります。そして、そのトラブルの
原因がテナントの側にある場合、オーナーは民法や借地借家法などの
ルールに基づいて契約を解除することも可能です。
しかし、一般論として、賃貸借契約において貸主の側から解除を
行なうのは非常に難しい状況となっています。解除が認められると、
借主は住む家や事業の拠点を失い、生活やビジネスに大きな打撃を
受けることになるので、裁判になった場合、裁判所は解除をできるだけ
制限しようとする傾向が見られるのです。
そのため、裁判所が、オーナー側の主張に従って解除を認めるのは
主に以下の3つの事情があるような場合になります。

①賃料の滞納がある場合
②オーナーとテナントの間の信頼関係が損なわれている場合
③工場・倉庫の老朽化等による建て替えの必要がある場合

工場・倉庫を管理する不動産会社には
トラブルの調停役になることも求められる

しかも、この①から③の事情があったとしても、すんなりと解除が
認められるとは限りません。
まず、①賃料の滞納がある場合については、1ヶ月や2ヶ月程度の
滞納では、解除の根拠として不十分と判断されます。最低でも
3ヶ月以上の滞納が必要と考えられています。
また、②オーナーとテナントの間の信頼関係が損なわれている場合に
関しては、オーナーとテナントとの間に単に感情的な対立が
あるという程度では信頼関係が損なわれているとはみなすことが
できないと考えられています。
例えば、ある裁判例(東京地裁平成21年8月28日判決)では、
賃貸借契約で問題となる信頼関係の意味に関して次のような
判断が示されています。

「賃貸借契約における信頼関係とは、賃貸人と賃借人とが、
感情的にうまく協調できる関係というような意味での個人的
主観的な信頼関係をいうのではなく、賃借人が対価を支払って、
賃貸借の目的物を利用するという有償の契約関係において、
賃貸人として、あるいは、賃借人として、社会的見地から
信義に従い誠実に行動することを相互に期待されている
関係を意味する」

このような客観的な意味での信頼関係を裏切られなければ、
裁判で解除が肯定されることはないでしょう。
③工場・倉庫の老朽化等による建て替えの必要がある場合に
ついては、さらにテナントに退去してもらう代償として
高額の立退料を支払うことが必要になります。逆にいえば、
立退料が支払えなければ解除が認められない、つまりは
建物が老朽化していても建て替えることができなくなるわけです。

このように、賃貸借契約の解除を行うことは非常にハードルが
高く、トラブルの解決法としては必ずしもベストな手段とは
いえません。解除のために費やす時間とエネルギーを考えれば、
オーナー、テナントと双方がともに歩み寄って互いに納得できる
何らかの妥協点を見いだす形で解決を図るほうが得策といえる
でしょう。
そして、そうした観点からは、物件を管理する不動産会社にも、
オーナーとテナントの間にトラブルが生じた場合、両者の仲介役
となり、双方が合意できる柔軟かつ多様な解決策を提示できる
ノウハウや経験が求められるといえるのです。

次回は不動産会社の管理でチェックする4つのポイントの3つ目
「テナント退去時の対応」について取り上げます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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