事業用地を賃貸で貸したい!手順と注意点をご紹介
事業用で使っていた土地を、事業用地といいます。事業用地を相続した場合、土地を貸し出すことはできるのでしょうか。この記事では、事業用地の位置づけと活用のしかたについて解説していきます。
事業用地とは何か
事業用地とは具体的にどのような土地を指すのか、まず事業用地の概要を説明します。
収益を得る目的で所有・利用される不動産のこと
事業用地とは、収益を得る目的で所有、あるいは利用されている不動産で、基本的にモノの保管、生産、流通に使用する産業施設用途の土地を指します。イメージとしては、店舗、工場、倉庫のようなものです。
ほかにも、オフィスビルや事務所、収益を得る目的があることから投資用のアパートやマンションも事業用地に含まれます。
なお、居住用に所有する不動産は事業用地には含まれません。ただし、居住用でも社宅や寮といった企業が従業員の居住用に所有している不動産の土地は、事業用地に含まれます。しかし、社宅や寮は住生活の要素が強いため、一般的な事業用地とは区別しなければなりません。
再重視されている事業用不動産「CRE」との違いは?
事業用地と似た用語に、「CRE」があります。CREとは、企業不動産のことで、企業が所有、あるいは賃貸借するあらゆる不動産を指した言葉です。店舗や工場、事務所などのほか、社員寮など福利厚生施設もCREに含まれます。
なお、CREは企業が使用する不動産となりますので、個人が事業目的で所有するマンションなどの投資用不動産は含まれません。範囲としてはかぶるところも多いですが、事業用地=CREでない点に注意しましょう。
事業用不動産の活用方法とその特徴
事業用地にある事業用不動産は、説明したように居住用の不動産とは異なるものです。そのまま所有する、売却する以外にも、さまざまな活用方法が考えられます。
事業用不動産を売る:譲渡・売却
事業用不動産を譲渡、あるいは売却するのも活用方法のひとつです。所有しているものの使っていない場合の不動産の処分として考えられるでしょう。収益性のない事業用不動産を手放すことによって、不動産の維持管理にかかる将来的な費用をカットできます。
ただし、事業用不動産がいくらで売れるかは、居住用と異なり簡単に予測できるものではありません。利用形態、土地の面積、需要など、さまざまな要素が事業用不動産の価値を決めます。
スムーズに取引が行なわれるようにするためにも、売値を決めて売り出す前に、相場を良く把握しておく必要があるでしょう。事業用不動産の場合、買主を見つけるために不動産会社を利用するのが一般的です。このようなケースでは、不動産会社に物件の価格を査定してもらい、売価を決めます。
事業用不動産を買う:購入
事業用不動産として稼働中の物件を借りている場合は、物件の購入も活用方法として考えられるでしょう。事業用不動産を購入して所有することのメリットは、実物資産になることです。
所有する物件ですので、家賃の支払いは必要ありませんし、賃料の交渉や退去の交渉なども必要なくなります。安定して保有でき、さらに所有することで減価償却を計上できるので、税制上のメリットも享受できます。
ほかにも、物件を担保にできるため融資を受けやすくなる、生命保険代わりに活用できるといったメリットもあります。事業用不動産を引き続き事業用として利用し、今後も使用する見込みがある場合に検討すると良いかもしれません。
事業用不動産を貸す:借地
借地とは、土地を貸し出すことです。事業用不動産と貸し出す方法には、事業用定期借地として貸し出す方法、建物賃貸方式で貸し出す方法が考えられます。
事業用定期借地とは、借地権の一種で事業用の土地を契約に基づき貸し出すこと。事業用定期借地の契約では契約期間を定めますが、期間によって更新の扱いが異なります。
基本的に、貸している側は更新を拒否できませんので、30年以上50年未満の契約では契約期間を延長しないなどの特約を結ぶことが可能です。契約が満了すれば、更地となって貸主に土地が返還されます。
一方、建物賃貸方式は、建物を建てた上で、建物ごと土地を貸す方法です。事業用定期借地のように、更地にして返還されることはありません。
なお、事業用不動産の借地は、借主の利用形態によって周辺の住人からクレームが発生する可能性もあるため、特定の業種を不動産オーナーが断ることもできます。
事業用不動産を借りる:賃貸
不動産を利用して自身の事業を展開する場合は、収益を得ることを目的として、物件の所有者から事業用不動産を借りるケースも考えられるでしょう。
事業用不動産の賃貸は、自然災害などのリスクを直接的に追わなくて済む、維持管理のコストがかからない、柔軟に借り換えできる点でメリットがあります。
保有する事業用不動産から資金調達したい場合は、一度不動産を売却して、そのあとに賃貸契約を結ぶリースバックも事業用不動産の賃貸方法のひとつとして有効です。
事業用地を賃貸する際の手順
事業用地を貸し出して賃貸物件として利用する際には、次のような手順で行います。
1.査定を依頼する
事業用地を賃貸利用するにあたって、地代を決めなければなりません。そのためには土地の価値を把握しておく必要があります。地代が高すぎるとなかなか借り手が現れず、安すぎると損をしてしまうため、相場に合った金額にすることが大切です。
そして、不動産会社に査定を依頼することで、土地の価値が分かります。このとき、1社だけでなく、複数社に査定依頼するようにしましょう。
不動産会社によっては相場よりも高く評価するところや、逆に安く評価するところがあるためです。複数社に査定を依頼することで、土地の正確な価値を把握できます。
2.不動産会社に依頼する
土地の価値を把握したら、不動産会社に依頼して借り手を探してもらいます。
ただ、不動産会社によって得意な分野が異なるため注意が必要です。なるべく事業用地の売買にノウハウのある不動産会社を選ぶようにしましょう。普段から事業用地を扱っている不動産会社なら、賃貸の場合も安心して依頼できます。
また、借り手を募集するだけでなく、物件の管理も行っている不動産会社が良いでしょう。そうすれば、管理が必要な場合でも、ほかの業者を探す必要はありません。
3.媒介契約を結ぶ
不動産会社への依頼は媒介契約を締結するという形で行います。媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類です。
一般媒介契約は同じ物件に関して、同時に複数の不動産会社に依頼することができます。自分で見つけた相手と直接取引することも可能です。
専任媒介契約は、同じ物件を同時に複数の不動産会社に依頼することができません。1社のみに依頼することになります。ただし、自分で見つけた相手なら直接取引が可能です。
専属専任媒介契約も同じ物件を同時に、複数の不動産会社に依頼することができません。その上、自分で見つけた相手との直接取引もできず、不動産会社を通じて取引を行うという内容です。
事業用地の賃貸をする際の注意点
事業用不動産の活用には、説明したようにさまざまな方法があります。活用形態は、事業用不動産をどうしたいか、目的によって異なるでしょう。
所有している事業用不動産を使用しなくなった、あるいは利用頻度が低くなった場合は、売却のほか、事業用地として貸し出す方法が考えられます。
事業用地の賃貸は、事業用として使われていた土地や建物を利用したいという需要もあるため、条件次第では借り手も見つかりやすいでしょう。しかし、居住用として使用するのとは異なり、事業用として使用するものですので、さまざまなトラブルも予想されます。
さまざまなリスクを考慮する
事業用地を事業者に貸し出すことは、安定的に賃料を得やすいなどのメリットもある一方で、さまざまなリスクもあります。たとえば、入居後のトラブルです。
事業用に貸し出した場合、騒音やにおいなどにより周辺住民からクレームが出たり、契約時に責任の所在が明らかでなかったために、入居者とトラブルになったりすることもあります。
対策としては、契約の段階でトラブル発生時の特約条項を具体的に明記することが重要です。
しかし、さまざまなトラブルのケースが考えられますので、契約によってすべてのトラブルを回避できるとは限りません。トラブルが発生したときは、テナントの言い分や要望にも耳を傾ける必要があるでしょう。
ただし当事者間ではなかなか解決できないこともあります。スムーズな問題解決のためには、不動産会社にトラブルの対処を任せるのが得策です。トラブル発生時の対処法さえしっかりしていれば、メリットも多い事業用地の賃貸は不動産の活用方法として魅力的なものとなるでしょう。
事業用不動産の専門家・タープ不動産情報へ
事業用不動産の賃貸トラブルを解決するために、不動産会社へ相談、依頼することは重要ですが、必ずしも思いどおりに交渉が進むとは限りません。不動産会社に依頼する場合は、問題解決力のある、事業用不動産取引の実績がある不動産会社に依頼することが大切です。
事業用不動産の取引を考えている、あるいは悩みを抱えているなら、株式会社タープ不動産情報での相談を検討されてはいかがでしょうか。数ある不動産管理会社のなかでも、事業用不動産に特化した弊社なら問題解決に向けてお客さまにあった提案ができます。
常時600件以上の管理実績もありますので、不動産管理についても強みがあるのがタープ不動産情報の特長です。事業用不動産の賃貸トラブルの相談はもちろん、活用についての相談もお任せください。
空室対策をする
事業用地の賃貸利用を始めようとして募集しても、すぐに借り手が見つかるとは限りません。借り手が見つからなければ、地代や賃料も得られないでしょう。
建物付きの事業用地の場合には、使い勝手が悪かったり建物が古かったりして、借り手が見つからないことも多いです。そのため、リノベーションを行うことで、借り手が見つかりやすくなることもあります。
また、物件に合った業種に絞ってアピールするのも良いでしょう。需要のあるところにのみ集中してアピールすることで、魅力が伝わりやすくなります。
入居者のリスクに考慮する
借り手が毎月確実に地代や賃料を支払ってくれれば問題ありませんが、そうとも限りません。地代や賃料を滞納されてしまう可能性もあります。そのため、あらかじめ滞納トラブルの対策を打っておかなければなりません。
事前審査もできるだけ徹底し、滞納のリスクが高そうな相手に貸すのは避けましょう。また、保証金を支払ってもらってから、物件の鍵を渡すのが望ましいです。保証金を受け取っていれば、滞納されても、保証金で賄うことができます。
また、保証会社を利用するのも選択肢のひとつです。そうすれば、滞納されてしまったときには、保証会社からその分の保証を受けられます。
まとめ
事業用地には、さまざまな活用方法があります。事業用地を貸し出すのも、不動産活用方法のひとつです。
継続的な収益に貢献する事業用地の貸し出しですが、事業者に貸し出すためにさまざまなトラブルが発生することもあります。リスクを回避するためにも、安心してトラブルの対処を任せられる不動産会社と関係を構築しておくことが大切です。