工場解体の費用相場を紹介!価格を低く抑えるポイント
建物の解体には費用がかかります。特に規模の大きい工場となると、それなりにまとまった額が必要となるでしょう。所有する工場の解体を考えているなら解体費用は大きな関心事のひとつです。この記事では、工場解体にかかる費用と押さえておきたいポイントを紹介します。
工場解体の費用相場
工場解体にかかる費用を知りたいなら、だいたいの相場を押さえておく必要があります。以下が、坪単価ごとの工場解体にかかる費用相場です。
坪数 | 解体費用の相場(1坪当たりの価格) |
~10坪未満 | 45,000~50,000円程度/1坪 |
10坪から20坪程度 | 30,000円程度/1坪 |
20坪から40坪程度 | 25,000~30,000円程度/1坪 |
50坪から70坪程度 | 30,000~55,000円程度/1坪 |
70坪以上 | 23,000円以上/1坪 |
解体費用は坪数があるほど1坪当たりの価格が低くなるわけではありません。10坪未満は1坪当たりの解体費用が高く設定されており、10坪以降は価格が下がりますが、50坪当たりから1坪当たりの価格は上昇します。
ただし、上記の工場の解体費用はあくまでも目安です。建物の構造、アスベストの使用有無など、工場の状態によって最終的にかかる費用は相場を上回る場合もあります。相場はある程度の目安と考えて把握するのが良いです。
工場解体の基本的な流れ
工場解体にかかる費用を知っておくと同時に、計画どおり解体するには解体の流れも押さえておくべきです。ここでは、簡単に工場解体の流れを説明します。
1.現地調査
工場の解体は、専門の解体業者に依頼することがほとんどです。依頼する業者を選定するためには見積もりが必要で、精度の高い見積もりには業者に現地調査を依頼します。
解体業者が現地調査で確認するのは、見積もりに必要な建物構造の種別、現場の環境、重機搬入や搬出ルートの確認などです。あわせて、工事内容の確認など依頼者からのヒアリングも実施します。
所有者が現地調査に立ち会う際は、業者が細かくチェックを行っているか、必要に応じて説明を入れてくれるか確認しておくと良いでしょう。信頼できそうな業者か、チェックを適切に行っているか、正式に解体を依頼するときの判断材料になります。
2.見積もり
現地調査終了後、調査を基に解体業者から見積書を作成してもらいます。現地調査をはさんだ見積もりであれば、口頭や文面で建物の状況を伝えるより、より詳細な見積もりを出してもらえるでしょう。
なお、見積書を作成してもらったからといって、調査を依頼した解体業者に必ずしも解体を依頼しなければならない決まりはありません。複数の解体業者に調査と見積もりを依頼して、複数社から見積書を提出してもらうことも可能です。
複数の見積りを比較すると、内容も工事の詳細の記載も異なるかと思います。工事の内訳やスケジュールを含め、詳細がしっかり書かれている業者は仕事が丁寧なことが多いです。見積もりの内容も判断材料に業者を選定すると良いでしょう。
3.解体業者との契約
見積金額、見積書の内容などを基に依頼する解体業者を決定します。余裕をもって進めるためにも、希望日の数ヶ月以上前から準備を進めておくと良いでしょう。
解体業者を決めたら、契約を締結します。契約は口頭ではなく、後にトラブルに巻き込まれないためにも、必ず書面で交わすようにしましょう。契約締結時には、契約の内容に問題はないか、トラブルになりそうな部分はないか、よく確認しておくことも重要なポイントです。
4.建設リサイクル法に基づく申請
構築物の解体にあたって、産業廃棄物の分別やリサイクルを促進する制度として、建設リサイクル法が制定されています。建設リサイクル法によると、床面積が80㎡を超える建築物を解体する場合、都道府県知事に届出を行わなければなりません。
届出は、所有者本人が解体工事の7日前までに行う必要があります。必要であるにもかかわらず届出をしなかった場合、罰則が課せられるので注意が必要です。解体業者の対応にもよりますが、所有者本人でなく、業者に届出を委託することもできます。
契約を結んでもすぐに解体に取り掛かれるわけではないため注意しましょう。建設リサイクル法による届出のほかにも、道路使用許可申請などが必要な場合もあります。あらかじめ必要な申請事項を整理しておきましょう。
5.近隣への挨拶
建物の解体作業は、騒音や振動、粉塵の飛散など、周辺にも少なからず影響を与えます。何の説明もないまま解体作業を進めると、近隣からクレームを受けることもあるでしょう。
クレームを避け、穏便に解体作業を進めるには、あらかじめ迷惑がかかることを説明するために近隣に挨拶しておくことが重要です。一軒ずつ説明するのに時間がかかるようであれば、住民説明会を開く方法もあります。
6.解体工事の着工
近隣への挨拶が済んだら、解体工事に進みます。事前に説明を受けたスケジュールに従って、業者が解体を行います。
7.解体工事後の処理や申請
建物解体後は、解体で生じた産業界廃棄物の搬出、マニフェスト伝票の作成、建物減失登記が行われます。
■マニフェスト伝票
マニフェスト伝票とは、解体で生じた産業廃棄物がどのように処理されたか記録した書類です。マニフェスト制度に沿って、解体業者は処理を適切に実施したか証明するための書類を作成します。
■建物減失登記
建物減失登記は、法務局で行う登記の手続きです。建物が解体によりなくなったとき、焼失したときなど、建物の減失から1ヶ月以内に手続きをします。登記は所有者本人が行うほか、司法書士などに委任することも可能です。
建物減失登記にあたっては、解体業者に準備してもらわなければならない書類もありますので、事前に登記に必要な書類を確認し、揃えておきましょう。建物減失登記を行わないと固定資産税が課税されるなど支障もありますので注意が必要です。
工場の解体費用を低く抑える方法
現地調査から、解体工事、解体後の作業までしっかりした業者を選ぶことはもちろんですが、できるだけ解体にかかる費用は抑えたいものです。解体で損しないポイントを最後に紹介します。
なるべく下請けに任せない業者を選ぶ
見積もりを依頼した解体業者自身が解体作業を行うのではなく、下請けの業者が解体を行うケースも見られます。下請けに工事を委託している業者の場合、中間マージンが発生するため解体費用が高くなる可能性が高いです。
解体業者を選定する際は、できるだけ下請けに工事を委託していない業者を選ぶようにしましょう。
また、解体するものや処分するものが多いと、それだけ解体費用がかさむ原因になります。工場をそのまま引き渡して解体を依頼するのではなく、工場所有者のほうで処分できるようなものがあれば依頼前に処分を済ませておきましょう。処分物が少なければ費用も抑えられます。
相見積もりは必ず行う
解体を依頼する際は、はじめから1社に絞り込まないことです。必ず相見積もりを行うようにします。相見積もりのメリットは、複数に見積もりを依頼することで、相場感が見えてくるものです。
不要な作業が含まれていて相場より高くなっていないかなど、判断しやすくなります。
工場そのものを売却してしまう
工場解体後に土地を利用する予定がないなら、工場が建った状態のまま売却するのも方法のひとつです。工場を必要としている人に売却できれば、解体する必要もなく、解体費用も発生しません。
しかし、問題は、工場の状態によっては買い手が思うように見つからない可能性があることです。工場そのものの売却を考えるなら、どのように売却すればベストか提案してくれるような、事業用不動産に詳しい仲介業者に相談するのが良いでしょう。
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まとめ
工場の解体にはまとまった費用がかかるだけでなく、建物の状態などで相場よりもさらに費用がかさむこともあります。費用を抑えるために相見積もりや業者選定に力を入れることも良いですが、解体後に使う予定がないなら建物ごと売却することも検討してみましょう。