工場の解体は業者選びが重要!どこに注目すれば良い?

使わなくなった工場は、そのまま放置すると危険です。とはいっても、解体するとなれば費用が気になります。近隣の住民への配慮も必要です。どのように進めて、どのような業者を選べば良いのか紹介します。

工場が解体されるまでの流れ

まずは工場が解体されるまでの流れを見てみましょう。

複数の業者に見積もりを出してもらう

後述するとおり、工場の解体にかかる費用は、業者によって大きな差があります。数百万円の違いが出るケースも少なくありません。ひとつの業者だけに依頼すると、損をしてしまう恐れがあります。

そのため、工場を解体したいときは、複数の業者に見積もりを出してもらうと良いでしょう。依頼すると、業者は現地調査を行います。工場の構造や周辺の環境などから、必要な人員と日数、重機を割り出し、見積もりを出すという流れです。

何にどれくらいの費用がかかるかは、見積書に記載されています。不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。こうした対応の良し悪しも、業者を選ぶ基準となります。

費用を抑えられるのが望ましいですが、極端に安い業者は要注意です。廃材を適切に処理しない、後で追加料金が発生するなどトラブルが起こるかもしれません。

費用はもちろん、作業内容にも納得できれば、その業者に解体を依頼し、契約を締結します。

解体する工場の延床面積が80平方メートルを超える場合は、作業をはじめる7日前までに、自治体で「建設リサイクル法」に基づく手続きを行わなければいけません。業者に委任するのも可能です。

自治体によっては、ほかの手続きも必要な場合があります。例えば、工場の廃止届を提出したり、土壌汚染や害虫・害獣が発生する恐れがあるなら対策を講じたりするなどです。

近隣への配慮が必要

工場の解体は、騒音や振動、廃棄物の飛散、関係車両の出入りなどがともなうことがあります。一時的とはいえ、何の予告もなくはじめたのでは、周辺の住民に良い感情をもたれないでしょう。

あらかじめ挨拶回りを行い、スケジュールや作業内容、連絡先などを書面で知らせて、トラブルを防がなければいけません。数が多くて回り切れない場合は、住民説明会という形で対応する方法もあります。住民から要望があれば、できるだけ応えられるよう業者にも配慮してもらいましょう。

解体と搬出

準備が終わったら、スケジュールに従って業者に解体を行ってもらいます。最初に防音シートで工場を敷地ごと覆い、騒音や飛散を防ぐのが一般的です。作業中も水を撒いて、できるだけホコリが舞うのを防ぎます。

解体で生じた廃材は順次搬出され、処理場に運ばれますが、その際に業者は「マニフェスト伝票」を作成しなければいけません。これは、廃材がどのように処理されたか記録された書類で、5年間の保管義務があります。

最後は、必要に応じて整地して完了です。きれいに整地しようとすると費用が上乗せされる場合もあります。工場の大きさにもよりますが、解体にかかる日数は1~3週間が目安です。準備期間もあるので、余裕をもってスケジュールを組みましょう。

建物滅失登記を忘れずに

工場が解体されたら、「建物滅失登記」を行います。これは登記簿から工場の存在を抹消する手続きです。そのままにしておくと、固定資産税や都市計画税が引き続き課税される恐れがあります。窓口は、工場がある地域の法務局です。建物の所有者に手続きする義務がありますが、土地家屋調査士にも委任できます。

工場の解体にかかる費用

では、実際に工場を解体するとなれば、どれくらいの費用が発生するのでしょうか。

坪単価2.5~5万円が目安

工場の解体にかかる費用は、坪単価で2.5~5万円が目安です。立地や広さによっても変わりますし、構造でいえば、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが高くなります。あくまでも総額を坪単価で割った金額であり、実際の見積もりでは作業内容ごとに費用が算出されるのが一般的です。

例えば、工場を解体する場合は、以下の費用が発生します。

・工場そのものの解体費用(屋根や壁、基礎など部位別に算出する業者もあります)
・廃棄物の処理費用
・養生や足場の設置費用
・整地など付帯工事にかかる費用
・残置物を処分するための費用
・重機の運搬費用
・諸手続きにかかる費用

人件費は解体費用に含まれていたり、分けて計算したりするなど、業者によってまちまちです。解体費用に含まれても、交通整理にかかる人件費を別途請求する場合もあります。

追加費用に要注意

業者は、見積もりを依頼されたときに現地調査を行って、工場の構造や使われている建材などを確認するので、本来であれば、見積もりどおりの金額で解体されるはずです。

けれども、作業中に現地調査では分からなかった問題が発生すると、追加費用が発生する可能性があります。例えば、アスベストが使われていたり、地中に埋設物があったりするなどです。ほかにも、住民からのクレームにより養生を手厚くして追加費用がかかる場合もあります。

こうした事態を防ぐには、工場の図面や仕様書などを用意して情報提供したり、複数の業者に見積もりを依頼して現地調査を行ってもらったりするのがおすすめです。ある業者が気づけなかったことに、ほかの業者が気づける可能性があります。また、万が一に備えて追加作業が発生したときの対応についても確認しておきましょう。

解体費用を節約するには?

工場の解体費用は、交渉次第である程度節約できます。先ほどの「残置物を処分するための費用」も自分たちで片付けてしまえば費用がかかりません。
もし、解体の際に出る廃棄物の中に、鉄くずをはじめとしてリサイクルできるものがあれば、買い取って費用と相殺してくれるかもしれません。ほかにも解体が集中しやすい12~3月などの繁忙期を避けると、費用を節約できる可能性があります。業者に相談してみましょう。

工場の解体におすすめの業者は?

解体を行う業者は数多くありますが、工場を解体するときは、どのような業者を選べば良いのでしょうか。

単独で解体工事ができる

業者の中には、受注しても実際の作業は下請けの業者に任せるところがあります。その際に「中間マージン」という手数料が発生するため、受注した業者が直接作業するよりも費用は高めです。誰が実際に作業するのか確認して、中間マージンが発生しない業者を選ぶと良いでしょう。

同様に、受注した業者が大型の重機を保有していないと、ほかの業者から借りることになり、レンタル料が発生する分、費用は高くなります。自ら保有している業者であれば、こうした費用も節約できます。レンタルを利用せず、単独で解体ができるか確認しましょう。

工場を解体した実績が豊富

同じ解体の業者でも、得意とする建物や構造は異なります。見積もりを依頼する中には、工場の解体がはじめてという業者もあるかもしれません。

やはり、工場を解体した実績が豊富であるほど、要領よく作業が進み、それだけ工期を短くできます。工期を短くできれば、人件費を節約できるわけです。

また、現地調査や図面、仕様書などに基づいて、発生する作業を想定できるのも経験に裏打ちされています。そのような業者であれば、安心して工場の解体を依頼できるでしょう。

タープ不動産情報は、工場をはじめとする事業用不動産を数多く扱ってきた実績があり、社内には工事部門もあります。そのため、工場の解体はもちろん、スピーディーで無駄のない工事を低コストで行うのが可能です。解体後の活用についてもアドバイスできます。

工場の解体をお考えの際は、ぜひご相談ください。

まとめ

工場を解体するときは、複数の業者に見積もりを依頼すると、費用や対応など最適なところを選びやすくなります。特に重機を保有し、単独で解体を行える業者がおすすめです。費用は節約できる場合もあるので、遠慮なく業者に相談しましょう。