倉庫を解体する方法と気をつけるべき注意点とは

「所有している不要な倉庫を解体しよう」と検討しているオーナーも多いのではないでしょうか?古い倉庫であれば、解体工事をして土地を売却することも可能なため、不要な倉庫をまずは解体するオーナーも多いです。

そこで今回は、倉庫の解体工事の方法や解体までの流れについて紹介していきます。

倉庫の解体方法

倉庫の解体方法について紹介していきます。専門業者に依頼するのが一般的ですが、「費用を抑えるために、自力で倉庫を解体したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

自力で解体するには

倉庫全体を自力で解体できるわけではありません。

例えば、倉庫の延床面積が80平方メートル(約24坪)以上ある場合です。建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)によって、都道府県知事への届出が義務付けられています。

その際に、解体後の分別やリサイクルについて計画を提出しなければいけません。本来であれば発注者が行いますが、受注された専門業者が行うのが一般的です。

また、都道府県知事から解体工事業として登録されるのは、建設業の許可を持っているか、基準に適合する技術管理者を選任している業者に限られます。

ほかにも、倉庫にアスベストが使われていると、延床面積に関係なく自力での解体はできません。やはり所定の手続きをした上で、専門業者が解体や処理を行う決まりとなっています。事前調査も必要です。

アスベストは、2006年(平成18年)9月に使用が全面禁止されています。倉庫がそれ以前に建てられているなら、最初から専門業者に依頼するほうが良いでしょう。

これらを踏まえて、建設法に満たしている方向けに解体方法を紹介していきます。

事前準備として、解体までに残置物はすべて処分しましょう。電気やガス、電話回線を引き込んでいる場合は、それぞれ電力会社やガス会社、通信会社に電話して、設備を撤去してもらいます。水道は解体中に洗浄などをすることもあるので、設備は残しておきましょう。

道具は、ハンマーやバール、スパナ、ドライバーなどがあると便利です。さらにチェーンソー(または丸のこ)があれば、大きな廃材を小さくカットできますし、ハンマードリルはコンクリートに穴を空けたり、破砕したりすることができます。

作業中は安全のために、自分の体を守る作業着や手袋、ヘルメット、安全靴、ゴーグル、マスクなどを着用しましょう。

屋根の解体など、高いところで作業するなら、はしごを使うよりも足場を組んだほうが安全です。個人向けに足場をレンタルしてくれる業者もあるので調べてみましょう。

次は解体方法について紹介します。建物の解体は、上から下に向かって解体するのが鉄則です。屋根から始まり、窓、天井、壁、床、土台の順番で解体します。

解体が終わったら、廃材を適切に処分しなければいけません。ほとんどの自治体が「粗大ごみ」として出すよう指示しています。素材ごとに分別したり、一定の大きさや重さごとに束ねたりするのが基本です。一般ごみを出すのと比べて、高額な費用を要します。

専門業者に依頼する

解体の専門業者は、足場はもちろん、解体用の重機や廃材を運搬するトラック、発電機などを使えるので、10日から2週間程度の短期間で解体が完了します。

さらに、養生シートで現場を覆ったり、水を撒いたりして飛散を防ぐので、近隣の方に迷惑がかかる心配もありません。廃材も適切に処理してくれます。希望があれば、その後に整地するのも可能です。

自力で行うよりも、効率よく確実に倉庫を解体できるでしょう。特に事業用の倉庫は、ほとんどが80平方メートルを超える広さなので、専門業者に依頼するのが現実的です。

倉庫を解体する費用相場

では、倉庫の解体を専門業者に依頼すると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

解体費用の相場

倉庫の解体費用は、鉄骨造や木造といった構造、使われている建材、倉庫の広さ、基礎の撤去や整地といった付帯工事、重機の有無、作業員の数や工期などによって決まります。
※繁忙期や閑散期によって費用も変動します。

倉庫に多い鉄骨造であれば、1坪(約3.3平方メートル)あたり2~3万円が相場です。木造であれば、鉄骨造より多少費用を抑えることができるでしょう。また、鉄筋コンクリート造であれば解体も廃材の処理も手間がかかるので、費用が高くなる傾向があります。

費用相場はあくまでも目安

ただし、相場はあくまでも目安であり、実際にどれくらいの費用が発生するかは、業者が現地調査を行わないと分かりません。

そこで、倉庫を解体するときは、最初に見積もりを依頼しましょう。一社ではなく、複数の業者に依頼します。なぜなら、業者によって提示する金額に違いがあるからです。

倉庫の規模が大きければ、重機を保有している業者のほうが、安い金額を提示できます。

重機を保有していない業者は別の会社からレンタルする必要があるため、費用が高くなる傾向にあります。また、重機を利用しない解体は、手壊しの対応がほとんどです。工期が長くなり、人件費もかかってしまうことから、重機を保有している業者に依頼するのがおすすめです。

ただし、倉庫が小規模であったり、立地などの理由で重機が使用できなかったりする場合は、手壊し業者に依頼するほうが費用を抑えられることも期待できます。

あまりにも安い金額を提示する解体業者には要注意です。解体方法に問題があったり、廃材が適切に処分されなかったりする恐れがあります。必ず算出根拠を説明してもらいましょう。

倉庫を解体するときの注意点

倉庫を解体するときは、作業以外にも注意点があります。

事前準備を万全に

先述のとおり、延床面積が80平方メートル以上の倉庫を解体するときは、都道府県知事への届出が必要です。

本来は発注者が行わなければいけませんが、受注者(業者)に委任することもできます。期限は工事に着手する7日前です。

アスベストが使われている疑いがある場合は、事前調査を行い、作業計画の提出を求められます。こちらの期限は工事に着手する約14日前です。余裕を持って予定を組みましょう。

ほかにも、作業車を道路に停める場合は、警察署に「道路使用許可申請」を提出する必要があります。

また、近隣住民には、騒音や飛散、振動などで迷惑をかける恐れがあるので、作業が始まる前までに挨拶や説明を済ませておきましょう。こちらも業者が対応してくれる場合があります。なお、自治体によっては説明会を開催しなければいけないかもしれません。

長期にわたって使われていなかった倉庫は、害虫や害獣の棲み処になっている可能性があります。解体によって、近所に移動する恐れがあるため、事前に駆除しておくと安心です。

倉庫の解体は専門業者に任せよう

解体を専門とする業者は、諸手続きに詳しく、廃材も適切な処理をしてくれます。重機を保有しているところなら、効率の良い作業が可能です。自力で作業するよりも安全に解体してくれます。

ただし、すべての業者がそうであるとは限りません。複数の業者に見積もりを依頼するときは、金額だけでなく、実績があって信頼できるところを選ぶようにしましょう。

例えば、算出根拠や作業内容を丁寧に説明してくれたり、良い方法を提案してくれたりする業者であれば安心です。

タープ不動産情報は、関東地区を中心に、解体工事から倉庫の活用まで豊富な実績がございます。古い倉庫は解体するだけでなく、リノベーションや賃貸といった提案も可能です。建物診断も行っております。

さらに、不動産部門と工事部門が連携しているので、低コストで無駄のない迅速な工事が可能です。古い倉庫の解体でお悩みの際は、ぜひご相談ください。

まとめ

倉庫を解体するのは自力でも不可能ではありませんが、延床面積が80平方メートルだったり、アスベストが使われていたりすると、専門業者でなければできません。実施にあたっては複数の業者から見積もりを取り、価格はもちろん、信頼できるところを選びましょう。