コロナショック後に不動産価格が落ち込みそうなエリアはどこか?
コロナ禍で不動産価格が落ち込みそうな立地には、「いかにも」というところもあれば、意外にそうとも言えないところもあります。
東日本大震災時から読み解くコロナショック後の不動産価格
コロナショックによって、不動産を選ぶ立地は変わってしまいました。過去に起こったことには、背景や因果関係が必ずある、と考え、今後起こり得ることをまとめてみたいと思います。
東日本大震災の際は、津波被害が大きかったので沿岸部が嫌われ、液状化被害を受けた地域から人の流出が続きました。また、その後の計画停電や鉄道の間引き運転を嫌った転居が、単身層を中心に1万人以上の職住近接者を増やしました。
千葉県では液状化に加え、放射能汚染が問題視され、戦後初めて人口減少に見舞われました。放射能汚染問題は地方から首都圏への人の流れを止め、外国人に至っては大幅な減少が2年間続きました。このように、人のマインド上で懸念されることは人口移動という形になって現れます。
空港周辺エリア~人が集まらなければ魅力を失う
インバウンド需要の高まりで、空港周辺のエリアに注目が集まっていました。政府の計画通りに順調に数を伸ばし、訪日外国人数は2020年のオリンピック年に4000万人を迎える予定でした。そして2030年に6000万人とするのが政府目標でした。その2020年4月に、前年同月比で99.9%減の2900人に減るとは誰も予想すらできない結果でした。航空産業は新規採用がゼロになり、減便が続いています。
現状でも世界中で患者数が増え続ける中で、入国制限が続き、出国のマインドも地に落ちています。以前の水準を回復するには、人間が現在のコロナ禍を忘れるだけの時間が必要になります。
大震災時に湾岸エリアの液状化懸念が払しょくされた期間が2年後だったのを見ると、今回はどれくらいの期間を想定する必要があるでしょうか。今回も2年だと仮定すると、その間に空港周辺での仕事を失った人々は、空港近くに住む必要性がなくなり、次々と離れていくはずです。そもそも、空港周辺の土地が魅力的だったのは、人が集まりそうにないところに空港ができ、その空港に毎日数万人が集まるがゆえに関連した仕事が生まれるという構造になっているからです。その構造が崩れれば、周辺の不動産需要は減少を否めません。
これは、羽田も成田も関空も同じです。これまで、インバウンド需要の増大を中心に市場拡大が確実に見込める場所だった空港は、最も需要が減退することになります。コロナ感染の収束が見えるまで需要の回復はV字ではなく、L字に近いものとなるでしょう。
同じ意味で、冷や水を浴びせられた場所は、誰もが有望視した品川駅でしょう。新幹線が停車するようになり、2027年にはリニアモーターカーが開通する予定だったが、人の移動回数が減ると、その有望度はその分落ちることになります。
観光地~「三密」不安が燻る限り厳しい
米国の失業率は4月に前月比10%以上上昇し、14.7%になりました。これを州別に見ると、最も高いのはラスベガスのあるネバダ州の28.2%で、次いでハワイ州の22.3%となっています。いわゆる観光地で、雇用が大量に失われたことになります。
日本でも同じく、国内・海外の観光客を失った観光地の被害は大きいです。人が集まるからこそ、観光地らしい賑わいがあったものが、閑散としてしまいました。「三密」を懸念していたら、観光地が人気観光地然とすることはありません。住宅の需要は原則、仕事がある場所の近辺に発生します。加えて、観光地では住民票で認識できないセカンドハウスやSOHO需要も多く、これも人が集まるからこそ生まれる派生需要です。
観光に依存している立地は、浅草、上野、銀座、新浦安、台場などが挙げられます。人が集まらないと、飲食店や周辺居住者を対象にしたサービス業にも陰りが生まれます。たとえば、行きつけのレストランが閉店するとその地への馴染みが薄れます。それは居住地を選ぶ際の基準になるので、流入人口を減らすことになってしまうでしょう。
テレワークで「職住近接」のトレンドは本当に終わるのか?
テレワークは、働き方改革の申し子のようにいわれています。テレワークの推進で、オフィスではフリーアドレスなどを導入すれば、床面積の縮小を見込むことができます。長期にわたる好景気でワーカー数以上にオフィス床を借りてきた経緯からすると、オフィスの空室率は上昇に向かう可能性があります。
そんな中にあって、居住エリアは職住近接、つまり勤め先に近いところに住む傾向が、バブル経済崩壊後の一貫したトレンドでした。都市圏では職場に通える場所に実家があっても、自分が稼ぐようになると1人暮らしをしたがる若い人は多く、単身者数の増大によって1世帯当たりの人員は直線的に下がり続けています。増え続ける単身者のニーズが職住近接だったわけです。
しかし、職場に行く必要性が薄れると、通勤自体が少なくなります。そこで「人は職場の近くには住まなくなるのではないか」という説を唱える人が出てきます。もっともらしく聞こえますが、人が住む場所を選ぶ際の基準は職場だけではありません。職場以外に「友達とよく会う場所(いわゆる遊び場)」「よく行く店」「実家」「出張」などを総合的に考えて判断しています。
それらの場所も、繁華街・ターミナル駅などになり、職場と大して変わらない場所にあります。人の行動半径は狭く、近場で済ませたいと思うものです。それはスーパーの方が安いと知りながら、コンビニが増え続ける理由でもあります。単身者が増え続ける以上、都心回帰傾向は変わらないと考えられます。
住宅価格は家賃が決める。恐怖が遠のけば光は見える。
借家の解約は1~2カ月で終わり、退去できます。空室率が上がると、家賃が下がり始めます。家賃が下がると、売買価格も下がります。不動産の価格は、そこから生まれる賃料収入で取引されるからです。需要が減った空港や観光地では、今後不動産価格の調整があるでしょう。
その一方で、家賃が上がる理由は人口密度が高いところであるという事実があります。「三密」を敬遠する意識が当分続くものの、ワクチンや薬の開発が進んで人が感染症の怖さを忘れるときが来ると、風向きは変わってくるでしょう。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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