遊休地を売却する際のポイント・そのほかの土地活用についても紹介

所有している土地が「遊休地」になっているなら、活用するのがおすすめです。そのままでは維持費が発生したり、トラブルに見舞われたりする恐れがあります。主な活用方法は売却や経営です。それぞれのメリットやデメリットを紹介します。

そもそも「遊休地」とは?

遊休地とは、その名のとおり「遊んだり休んだりしている土地」、つまり何の用途にも使われていない土地です。

土地は所有しているだけでも、毎年固定資産税と都市計画税を徴収されます。固定資産税は、固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は自治体によっても異なりますが、概ね固定資産税評価額の0.3%です。

さらに、放置された土地はトラブルの原因になる恐れがあります。例えば、雑草が繁殖して害虫が発生したり、ゴミが不法投棄されたりするなどです。犯罪の温床にもなりやすいため、周辺の住民に迷惑をかけるかもしれません。これらを防ぐには、定期的に管理する必要があります。

いずれ活用する計画が無い限り、遊休地のままで良いことは何もありません。

【土地活用その1】管理が面倒なら売却してしまおう

どんなに土地を活用しても、固定資産税や都市計画税は必ず徴収されますし、管理の手間もかかります。これらがストレスになっているのであれば、売却するほうが良いでしょう。

経済的な負担はもちろん、土地が遠くにあって目が行き届かない場合も同様です。また、相続を考えているのであれば、売却して現金化しておくと、相続人の間で分割するのが簡単になります。5年を超えて所有している土地なら、長期譲渡所得とみなされ、税率は17.1%です(2021年4月現在)。

立地が悪かったり、環境が良くなかったりして、目的の活用ができない場合も、売却したほうが一度にまとまった収入を得られるでしょう。

売却するときは、複数の不動産業者に査定を依頼するのがポイントです。土地の値段を決めるのは、固定資産税評価額や路線価、収益性、相場など、さまざまな要素がありますが、算出根拠は不動産業者によって異なります。ときには数百万円の差が生じるため、1社だけで売却を決めるのは大損するかもしれません。

オーナー側でも、事前に可能な範囲で相場を調べておくと、不動産業者の提示する価格が適正か見極められます。極端な高額を提示しても本当に売れるとは限らず、そのうち値下げを提案されて、「ほかの不動産業者のほうが高かった」という結果になりかねないからです。

なお、不動産業者を通して土地を売却すると、仲介手数料がかかります。上限は、売却価格が400万円を超える場合は、売却価格の3%に6万円を加算するのが一般的です。これに消費税が加わります。例えば、1,500万円で売却できたなら、仲介手数料は561,000円が上限です。

ほかにも、買主の募集にあたって不動産業者が広告を出すと、広告料を請求される場合があります。

先述のとおり、不動産の売買で得た収入は譲渡所得とみなされ、長期(5年超)の保有であれば税率は17.1%、短期(5年以下)であれば32.1%です。収入から土地の取得や売却にかかった経費を差し引いた額に対して課税されます。

遊休地を売却するデメリットは、それ以降に収入を得る可能性が途絶えてしまうことです。長期で考えると、活用のほうが多くの収入を期待できます。

もし、管理が苦にならず、土地を活用できる見込みがあるなら、売却よりも持ち続けるほうがおすすめです。

【土地活用その2】継続的な収益が欲しいならビジネスに使おう

では、どのように活用できるのか、代表的な方法を4つ見てみましょう。

アパート・マンション経営

アパートやマンションの経営は、部屋数に応じて家賃収入を得られます。土地が駅近くや住宅街など、生活の利便性が高いところにあるなら、長期にわたって安定した収入が見込めるでしょう。管理は自分でするよりも、不動産業者に委託するのが一般的です。

また、アパートやマンションを建てると、土地は「住宅用地」とみなされ、固定資産税と都市計画税の軽減措置を受けられます。200平方メートル以下までは固定資産税が1/6で都市計画税が1/3、200平方メートルを超える部分は、それぞれ1/3と2/3です。

一方で、アパートやマンションを建てるには、数千万円から億単位の初期投資が必要となります。ローンを組んだのであれば家賃収入から返済しなければいけません。空室が発生すると家賃収入を得られないため、返済が滞る恐れがあります。

ほかにも、経年劣化によって年数が経つほど多額の修繕費や維持費を見込まなければいけません。家賃の値下げをしなければ空室が埋まらない場合もあります。収入があっても、自由に使える金額はそれほど多くはない点に注意しましょう。

倉庫賃貸経営

土地に倉庫を設置して、収納スペースとして貸し出します。
単純に倉庫事業だけでなく、スポーツ施設やカフェなど様々な用途変更が可能です。建築コストも安く上がるなど、メリットの大きな土地活用のひとつだといえるでしょう。

借地事業

建物を作る目的で土地を貸して、収入を得るのが借地事業です。建物は借主の負担で作られるので、オーナーの出費はありません。契約期間は最低でも10年以上なので、少ない負担で安定した収入を見込めます。利益を出すのも、早いうちから可能になるでしょう。

注意したいのは契約の内容です。借地借家法による定期借地権は、借主が保護される傾向にあります。定期借地権の種類を間違えると、いつまでも土地が戻って来なかったり、契約満了時に建物を買い取ったりしなければいけないかもしれません。

事業用に土地を貸すのであれば、「事業用定期借地権」で契約するのが一般的です。契約期間は10年以上50年未満ですが、30年以上になると特約をつけない限り、契約の更新や建物の買取に応じなければいけなくなります。

更地で土地を返還して欲しいのであれば、30年未満の契約にするか、更新や建物の買取はしない旨の特約を契約書に明記しましょう。

駐車場経営

土地の周辺に商業施設や住宅地があるなら、駐車場経営もおすすめです。建物を作るよりも初期投資額が低く、単に土地を貸すだけよりも高い収入を期待できます。いざというとき、更地に戻すのも簡単です。管理の手間も、アパートやマンションほどかかりません。

月極駐車場であれば、安定した収入が見込めますし、コインパーキングであれば、回転率が高いほど収入が上がります。

一方で、空車リスクにより期待したほどの収入を得られない可能性もあるので、経営にあたっては専門家に相談するなどして、エリア内での需要を見極めましょう。

建物は作らないので、固定資産税や都市計画税の軽減措置は受けられません。

トランクルーム経営

トランクルームは、コンテナを設置して利用者が荷物を保管できるようにするサービスです。普段使わないものを保管するスペースとして、近年需要が高まっています。

こちらも駐車場と同じく、初期投資額が比較的低く、防犯対策は必要ですが、管理の手間もそれほどかかりません。

コンテナの広さにもよりますが高い賃料の設定が可能で、長期の利用が多いため、駐車場経営よりも安定した収入が見込めます。空室が発生しても、初期費用や維持費がそれほどかからないため、アパートやマンション経営に比べるとダメージは少なめです。

気をつけたいのは、都市計画法の「用途地域」によって経営が認められない土地があります。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、市街化調整区域の4つです。

また、コンテナを設置するだけでも、継続して利用するのであれば建築物とみなされるので、経営にあたっては建築申請をしなければいけません。その際は、利用者の荷物を保管するだけの「倉庫業を営まない倉庫」として登録します。

ただし、建築物であっても住居用ではないため、固定資産税や都市計画税の軽減措置は受けられません。

このように、遊休地を活用するのは、どの方法もデメリットやリスクがあります。必ず収入を得られる保証もありません。

タープ不動産情報では、これまで数多くの土地をはじめとする不動産の活用をサポートした実績がございます。オーナー様からお悩みやご希望を伺い、売却や経営など最適な土地活用を提案するのが可能です。活用後の管理も弊社で対応できます。

遊休地の活用をお考えの際は、ぜひご相談ください。

まとめ

遊休地は、まとまったお金が必要だったり、税金や管理に煩わしさを感じたりするのであれば、売却するのがおすすめです。経営すれば、税金や管理は発生しますが、継続的な収入を見込めます。経営にはリスクをともなうので、専門家からアドバイスを受けると、最適な活用方法を提案してくれるでしょう。