税金対策に不動産投資が有効なのはなぜ?国内と海外の例

現金として財産を所有する場合、相続では現金の額がそのまま評価されるため節税効果は期待できません。そこで、税金対策として注目されるようになったのが、不動産投資です。

不動産投資がなぜ税金対策になるといわれるのか、不動産と税金対策について、国内不動産と海外不動産とを比較しながら解説します。不動産投資を考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

不動産取得の際の税金対策には何があるか

不動産の所有は、税金対策になるといわれています。なぜ不動産が税金対策になるのか、国内不動産を所有する場合と、海外不動産を所有する場合とに分けて、それぞれの節税効果についてみていきましょう。

国内不動産の場合

賃貸用に国内不動産を所有しているケースで、不動産が税金対策になる理由を紹介します。

■経費計上
投資用に不動産を所有している場合、賃料が物件オーナーの収入となりますが、すべてが所得税などの計算で課税対象になるわけではありません。収入に対してかかった費用があれば、必要経費として経費計上し、収入から差し引くことができます。

■減価償却
建物は、取得した年に全額を経費にするのではなく、帳簿上は、一度資産に計上して、減価償却という形で少しずつ経費計上します。減価償却はその年の経費ですので、減価償却費の分、課税所得を減らすことが可能です。

■赤字の損益通算
不動産投資で赤字が出た場合、給与所得などのほかの所得との損益通算が可能です。つまり、給与所得などの所得から赤字の分を差し引き、課税所得にできます。

また、損益通算の結果、赤字の額が黒字を上回る場合は、源泉徴収などですでに納めている税金の還付を受けることが可能です。投資用の不動産取得時は、取得にかかった諸経費などが発生しますので、特に取得時には損益通算によるメリットが大きいと考えられます。

■相続や贈与での評価額
現金の場合は現金の額、上場株式などは時価などが評価基準ですが、不動産は時価ではなく規定の計算による評価が基準となります。不動産の評価額は、時価よりも低いことがほとんどですし、特例などで評価額がさらに下がることから、現金などで所有するよりも節税効果が大きいです。

海外不動産の場合

海外不動産を投資用に所有するケースを見てみましょう。

■経費計上
海外不動産を所有する場合も、国内での確定申告が必要です。この場合、国内不動産と同様に、不動産所有にともなう費用は経費計上できます。

国内不動産と海外不動産の違いは、場所によっては海外のほうが土地に対する建物の価値が高く設定されていることです。

■海外不動産の損益通算について
海外不動産については、令和2年度税制改正大綱で、個人が所有する国外中古建物の損益通算は認められないと明記されました。これにより、節税効果の高かった国外中古物件の損益通算は個人所有では不可となります。

ただし、法人については規制が設けられていないため、例外はあるものの一般的には、法人が所有する国外中古物件については、引き続き損益通算を行うことが可能です。

不動産の税金対策:経費計上できる項目

投資用不動産の所有は、国内所有でも、海外所有であっても税金対策として活用できます。税金対策になる理由としてそれぞれで経費計上を理由に挙げましたが、どのようなものを経費として上げられるのかを詳しくみていきましょう。

■1.税金
税金のうち、不動産の取得でかかる印紙税や登録免許税、不動産所得税、毎年発生する固定資産税や都市計画税は経費計上できます。

■2.管理費
物件の清掃、建物や消防設備の点検費用は、物件を管理するための費用として経費に上げられます。

■3.管理を委託している管理会社に支払う委託料
物件の管理を管理会社に委託している場合は、委託料を経費に計上することが可能です。

■4.ローンの利息
金融機関などから融資を受けて不動団投資を行っている場合、元金部分は経費にできませんが、ローンの利息部分は経費にできます。

■5.損害保険料
自然災害などに備え、物件に火災保険や地震保険などの損害保険をかけることも多いと思いますが、このような損害保険の保険料も経費計上ができる費用です。

■6.修繕費・修繕積立金
物件の修繕費や修繕積立金は、物件を維持するための費用として経費計上できます。

■7.そのほかの費用
不動産購入のための現地訪問など業務上必要な旅費交通費、不動産投資で必要な情報収集のための参考書の購入、管理に必要な通信費、確定申告のための税理士報酬などは経費計上が可能です。

不動産の税金対策:海外不動産への投資

不動産投資を税金対策別に大きく区分すると、国内不動産の所有と海外不動産の所有があると説明しました。国内でなく、海外で不動産投資をする物件オーナーも多いですが、理由はどこにあるのでしょうか。

投資用に海外不動産を所有することについて、メリットとデメリットを交えながら解説します。

海外不動産を購入するメリット

■建物の価値相場が下がりにくい
海外不動産のメリットは、建物の価値相場の下落が大きくないことです。四季がはっきりしている国内の物件は、建物への負担が大きいため価値が経過年数の応じて大きく下落していきます。しかし、海外不動産は国内不動産のような下落はそこまでありませんし、価値は長く維持されます。

結果として、建物の価値が下がりにくい海外不動産では売却も取得もしやすいため、取引にともなう節税効果が高くなると期待されます。

■低価格で購入できる
アジア圏などの新興国であれば、低価格で不動産を所有・運用できる点も海外不動産所有のメリットです。

■分散投資ができる
国内とは別に海外不動産をもつことのメリットは、国内不動産の不況によるリスクや価格下落のリスクを軽減できることです。ダメージの少ない物件を国外に複数所有することによって、リスクを分散させ、効率良く投資できるメリットがあります。

海外不動産を購入するデメリット

■為替変動のリスク
換金するタイミングによっては、為替変動のため減収することもあります。

■現地でのトラブル
海外不動産の投資は、税金の支払い、ローンの利用など、国内とは違った現地の情報収集が必要です。現地でのトラブルを回避するためには、現地情報に精通したエージェントを探す必要があります。

■海外不動産の管理
海外不動産の管理では、現地の人とのコミュニケーションも必要です。タープ不動産情報であれば、海外不動産の管理についての不安をカバーできます。

注意するポイント

ここまで、投資用に海外不動産を所有する場合のメリットとデメリットを説明してきました。注意したいポイントをまとめましたので、確認してみましょう。

■1.「外国税額控除」が適用できる国かどうか
外国にある投資用不動産を日本国内で確定申告する場合でも、現地の法に従って税金を納める必要があります。この場合、問題となるのが、海外でも日本でも二重に税金が課されてしまうことです。

二重課税の問題を解消するために、外国で払った税金の一部を税額から控除できる外国税額控除がありますが、二国間租税条約を結んでいる国でないと適用されません。税金の二重払いで損をする可能性がありますので、海外に不動産をもつ場合は、二国間租税条約があるか確認しておくと良いでしょう。

■2.為替リスクを考慮する
海外不動産の所有には、為替リスクがともないます。損をしないように、為替リスクを考慮して換金のタイミングを図ることが大切です。

■3.現地の最新情報に詳しい相談先が必要
現地でスムーズに不動産投資を行うには、現地の最新情報に詳しい相談先をもっておくことです。また、聞いた話だけで海外不動産の所有を決めてしまわず、必ず現地を訪れて物件や物件の周辺環境を良く確認しておくようにしましょう。

海外不動産についてお悩みの方は

税金対策や利回りを考えるなら、国内だけでなく、海外での投資用不動産の所有も魅力的です。海外不動産について考えているものの、どこに相談して良いか分からないとお悩みの方は、タープ不動産情報にご相談ください。

事業用不動産取引の実績を多くもつタープ不動産情報では、海外不動産についてのお悩みもご相談いただけます。

まとめ

投資用不動産の所有は、事業用のものでも税金対策として活用できます。国内不動産の所有のほかにも、海外不動産を所有する方法もありますので、広い視野で不動産投資を検討されるのが良いでしょう。

不動産投資を検討する場合は、専門的な立場でアドバイスしてもらえる、信頼できる不動産会社への相談がおすすめです。