工場物件の固定資産税を抑えるには?

固定資産税とは、固定資産の所有に対して課税される地方税のことです。工場を所有している場合も固定資産税がかかります。所有している限り毎年課される税金であるため、固定資産税をどうにか抑えられないか頭を悩ませる工場オーナーもいることでしょう。

この記事では、工場にかかる固定資産税の概要と固定資産税を抑えるための対策について紹介します。

工場における固定資産とは

固定資産とは、一定期間保有するもので、一定額以上の価値のある資産をいいます。固定資産税は、土地や建物、償却資産の固定資産を保有するものに対して課される税です。毎年1月1日の時点で固定資産を所有するものに対して市町村(東京23区については都)が課税します。

固定資産にはさまざまなものがありますが、特に工場における固定資産にはどのようなものがあるのでしょうか。工場で見られる固定資産について見ていきましょう。

固定資産の種類

■土地・建物
固定資産の代表が、土地や建物です。工場なら、工場が建っている土地、工場そのものが固定資産税の対象になります。固定資産税の課税基準になるのは、土地や建物の購入額ではなく、固定資産評価基準に基づいて決定された固定資産評価額です。

固定資産評価額に1.4%をかけた額が固定資産税額になります。工場などの商業用不動産は、負担水準のばらつきを考慮して負担調整の措置が設けられていますが、住宅のように固定資産税を大幅に減額するような特例はありません。

■償却資産
固定資産税の課税対象になるのは、土地や家屋のほかに償却資産があります。償却資産は、事業を営んでいる人が所有する資産で、法人税や所得税の計算上、減価償却費が損金や経費として算入される資産が対象です。

減価償却をする資産になるため、1点につき取得費10万円以上※で事業用に使われている資産が償却資産に該当します。ただし、形がない無形固定資産、自動車税の対象になる自動車は固定資産税が課される償却資産には該当しません。

事業として工場を所有している場合、償却資産の対象になるのは、以下のような有形固定資産です。

・舗装路面
・門や塀
・予備電源設備
・機械装置、工具備品 など

ほか、すべての業種に共通するものとして、パソコンやコピー機、エアコン、看板、内装や内部造作、LAN設備、応接セットなども、1点10万円以上であれば償却資産です。

※一括償却資産で処理できる10万円以上20万円未満の償却資産は、一括償却資産で処理することで課税対象から外れます。

償却資産の課税の評価基準

償却資産については、所有しているからといって必ずしも課税されるわけではありません。税額が発生するのは、償却資産の評価額の総額が150万円以上になったときです。

評価額とは、償却資産税を計算するために用いる償却資産の価値を示します。償却資産を取得した初年度ですと、評価額は取得費のだいたい8~9割です。

なお、使用することで価値が減少すると考えられる償却資産を、毎年取得費を基準に計算すると、価値の減少(減価償却)をまったく考慮しないことになります。初年度より後は減価償却を考慮した計算が必要です。

2年目以降は前年度の償却資産の評価額を基準に、耐用年数に応じた減価率をかけて税額を算出します。償却資産税の税率は、土地や建物と同じ1.4%です。

■償却資産は申告が必要
事業で使用する償却資産は、土地や建物と違い、自治体へ申告しなければなりません。所有者自身が毎年1月1日時点の資産状況を自治体に申告します。

土地や建物の固定資産税は自動的に納付書が届くのに対し、償却資産税は自己申告となる点に注意しましょう。自己申告後は、償却資産の評価額の決定、調査が自治体で行われた後、償却資産課税台帳に登録されます。申告の有無が異なるだけで、土地や建物同様、償却資産も通知された納付書での納税です。

なお、償却資産の申告は、納める税額がないからといって申告が免除されるものではありません。償却資産の評価額の合計が150万円未満で非課税となる場合であっても、申告をすることとなっています。土地や建物などと違い、事業者が所有する資産は把握しづらいためです。

申告がない場合は、事業の帳簿書類などを確認する調査が行われることがあり、この場合は、過去にさかのぼって償却資産税が課税されることもあります。

持っているだけでは固定資産税がかかるので売ってしまうか用途変更がおすすめ

事業を営まない個人にかかるのは、土地や建物を所有している場合の固定資産税です。一方、事業者は、土地や建物の固定資産税に加え、事業で使用している償却資産についても、償却資産税が発生することがあります。

事業者にとって、毎年の固定資産税や償却資産税は大きな負担に感じることもあるでしょう。ここからは、事業者が固定資産税を節税するための方法について解説します。

■持っているだけで固定資産税はかかる
固定資産税は、固定資産の所有によって発生する税金です。持っているだけで固定資産税は発生します。稼働していない資産、たとえば利用していない工場でも、所有しているという事実があれば課税対象となりますので注意しましょう。

固定資産税は土地や建物の所有に対して課されるものですから、たとえ工場を取り壊して更地にしたとしても発生します。建物の所有はなくなっても、自治体に届出を済ませていないと台帳上では土地は所有し続けたままだからです。

毎年発生する固定資産税のことを考えると、今後も使う可能性のない固定資産は売却してしまった方が良いでしょう。売却すれば所有権が他者に移りますので、固定資産税の支払いもなくなります。

■用途変更を活用する
住居用の土地や建物については、事業用と違い、固定資産税軽減の特例がありますので、同じ土地や建物の所有でも固定資産税の負担は減ります。

事業用から住宅用に利用を変更する事実があれば、用途変更の活用も検討してみると良いでしょう。用途変更をした場合は、ただちに自治体の窓口に連絡します。

■一括償却資産を活用する
償却資産の概要でも触れましたが、償却資産税の対象となる10万円以上の償却資産でも、10万円以上20万円未満の償却資産を一括償却した場合は、非課税となります。一括償却資産は、3年で償却する資産のことです。

一括償却資産が利用できる場合は、会計処理して課税対象自体を減らすのも節税方法のひとつになるでしょう。

工場や事業用不動産についての相談はタープ不動産情報へ

工場のような事業用不動産を所有している場合の固定資産税について説明してきました。特にすでに使用しなくなった工場を持っている場合は、固定資産税については気になるところと思います。

固定資産税の負担を考えると、事業用不動産を売ってしまうか、用途変更するか、いずれかが良いですが、問題は固定資産税だけではありません。事業用不動産を売却するべきかどうかは個々の事情、所有する不動産の状況によっても変わってくるでしょう。

工場や倉庫など、事業用不動産のことについて売却などをお考えなら、まずはタープ不動産情報へご相談ください。

タープ不動産情報は、売買だけでなく事業用不動産の管理までワンストップでサービスを提供していますし、トラブルの解決もサポートいたします。

事業用不動産の固定資産税も含めさまざまな相談を受けておりますので、不安なことがありましたらタープ不動産情報にお問い合わせください。

まとめ

工場は事業用の不動産です。工場を所有している場合、土地や建物について固定資産税がかかるほか、事業用の償却資産についても償却資産税が課税されることがあります。土地や建物については、住宅用であれば軽減の特例がありますが、事業用にはありません。

固定資産税の負担を抑えたい場合は、使用していない工場を売却する、あるいは用途の変更をすることが考えられるでしょう。

しかし、固定資産税だけで使用していない工場の処分を考えるのも早計です。状況にもよりますので、事業用不動産の売買や管理に実績のある不動産会社にまずは相談することをおすすめします。