倉庫の建て替えに必要な申請・確認のまとめ

老朽化した倉庫は、見た目が古いだけでなく、実用性にも乏しいため、賃貸するにしても借り手が見つかりません。解体して建て替えれば、市場の需要は高まりますが、どれくらいの費用がかかり、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。

建て替え前にまずは解体!倉庫を解体する際の流れ

倉庫を建て替えるのであれば、既存の建物を解体しなければいけません。流れを見てみましょう。

建物の状態を確認

まずは、解体業者に現地調査を依頼し、解体にかかる費用の見積もりを出してもらいます。このとき解体業者が確認するのは、建物の造りや内部の間取り、残置物の有無、周辺環境などです。

解体にかかる費用は建物の造りによって異なります。業務用の倉庫に多い鉄骨造(S造)であれば、1平方メートルあたり1万円台から。坪単価にすると3万円台からです。解体後の鉄くずは再利用できるため、その分だけ費用が安くなる可能性があります。

ほかにも残置物があれば撤去の費用がかかりますし、周囲を舗装しているのであれば、アスファルトを除去しなければいけません。廃棄物の運搬や養生する作業にも費用がかかります。

また、古い倉庫でアスベストなど有害な物質が使われている場合は、特殊な作業が必要になるため、通常の解体よりも割高です。

見積もりに納得できれば、正式に解体を依頼し、日付を確定して工事請負契約書を取り交わしましょう。解体にかかる日数はおおよそ10日前後ですが、事前の準備もあるため、余裕を持って契約するのがおすすめです。

周辺環境の確認

解体は、建物を壊して終わりではありません。事前に手続きや周辺環境の確認が必要になります。

例えば、「建設リサイクル法の事前申請」です。これは、倉庫の延床面積が80平方メートル以上である場合に必要で、解体を行う場所や内容などを記載して、建物がある市区町村役場に提出します。解体業者に代行してもらうには、委任状を添えなければいけません。提出期限は解体の1週間前です。

敷地が狭くて、作業車を道路に停める場合は、「道路使用許可申請」を行います。窓口は建物がある地域を所轄する警察署です。これも解体業者が行いますが、貼付する証紙代(数千円程度)を請求されます。

近隣住民への説明も必要です。大半は挨拶回りだけで済みますが、市区町村によっては条例で説明会を開かなければいけない場合もあります。解体業者が詳しいかもしれませんが、市区町村役場に確認しておくと安心です。

倉庫に引いている電気やガス、電話回線などのライフラインも、解体の前に停止しなければいけません。それぞれ、契約している電力会社、ガス会社、電話会社に連絡します。ケーブルテレビや専用のインターネット回線も同様です。

いずれも手続きすると、利用できなくなるだけでなく、解体前に関連設備を撤去するので、作業が始まる前に完了できるよう、日程を調整しましょう。

ほかにも、浄化槽や便槽があれば、オーナーが清掃を済ませなければいけません。

このとき、水道だけは停止せず、そのまま使えるようにしておきます。なぜなら、解体中に粉塵の飛散を防ぐために使うからです。業者側で散水車を持ち込むこともできますが、別料金が発生します。水道は解体が終わってから停止の手続きをしましょう。

最後に、解体が終わったら、1ヶ月以内に法務局で「建物滅失登記」を行います。登記簿から建物を消す(滅失する)手続きです。これを行わないと建物の固定資産税がかかり続けてしまいますし、建て替えたいときに建築許可が下りません。

土地によって建て替えできるものは違ってくる

解体が終わると更地になり、新たな建物を作れます。けれども、何を作っても良いわけではありません。都市計画法によってエリアごとの用途が決まっているからです。これを「用途地域」といって、全部で13種類あります。

例えば、倉庫が「工業地域」にある場合、ショップや飲食店への建て替えはできません。比較的自由に建て替えできるのは、商業地域や準工業地域で、それ以外は何らかの制限があります。

また、建物の種類ではクリアできても、高さや建ぺい率、容積率に問題があって、目的のものに建て替えられないケースもあります。その場合は、あえて解体せず、既存の倉庫をリフォームするほうが簡単でしょう。

タープ不動産情報では、倉庫をはじめとする不動産の活用について、豊富なノウハウを持っております。用途地域はもちろん、需要や利便性などから、どのように転用すべきかアドバイスが可能です。

さらに建て替えからテナント探し、管理に至るまで一括で行っておりますので、オーナー様の負担を軽減できます。

倉庫の建て替えでお悩みの際は、ぜひご相談ください。

駅の近くならマンションか商業施設かオフィスビル

倉庫が繁華街の中にある駅の近くなら、公共交通機関の利便性を活かして、オフィスビルや若年層を対象にしたショップ、飲食店などにするのがおすすめです。宿泊施設も需要が見込めます。

用途地域が「準住居」「近隣商業」「商業」「準工業」であれば、キャバレーなどの娯楽施設を除いて建設可能です。ただし、同じ駅の近くでも、住宅街の中にあるほど用途地域が異なり、制限が厳しくなるので気をつけましょう。

交通量が多く、住宅地からさほど離れていないところは商業施設に

駅から離れており、公共交通機関の利便性にも乏しいエリアであれば、車で利用する前提で新たな建物を決めると良いでしょう。例えば、スポーツ施設やアミューズメント、郊外型の商業施設にするのも良さそうです。

この場合は、駐車場のスペースを確保しなければいけません。その分だけ建物の面積が狭くなる点に注意しましょう。どうしても確保するのが難しければ、近隣の駐車場との提携を考えたいところです。

なお、倉庫として建て替えて、テナントが自由に使えるようにした場合、店舗や施設の種類によっては「用途変更」の手続きが必要になります。

用途変更とは、住宅や事務所といった通常の建物を、建築基準法で定める「特殊建築物」として申請する手続きです。倉庫はすでに特殊建築物ですが、ほかの用途に変更するときも、類似している場合を除いて手続きしなければいけません。

ただし、建物の中で用途変更する延床面積が200平方メートル未満であれば、手続きは不要です。

農地から用途変更して倉庫を建てるなら許可が必要

使っていない農地を保有しているのであれば、倉庫を建てて賃貸すると収益を上げられて、固定資産税や維持費を賄えるでしょう。ただし、事業目的で倉庫を建てるなら、農地から宅地へ用途変更しなければならず、必ず許可が下りるわけでもありません。

自分で保有する農地に倉庫を建てる場合は、農地法第4条の影響を受けます。つまり、許可が無ければできません。申請先は、農地のある場所や広さによって、以下のとおりとなります。

場所 広さ 申請先
市街化調整区域 4ヘクタール以下 都道府県知事
4ヘクタール超 都道府県知事(農林水産大臣と協議)
市街化区域 農地がある農業委員会

ただし、申請しても許可されない場合があります。例えば、市街化調整区域にあって農用地の区域内であったり、優良な農地であったりすると、優先して保護されなければいけません。市街化区域にあっても、自治体の方針によって許可されないところもあります。
誰かに売却して、買主が転用する場合も同様です(農地法第5条)。申請は、売主と買主の連名で行います。

もし、許可を受けずに転用すると、個人であれば3年以下の懲役か300万円以下の罰金です(農地法第64条)。さらに原状回復の費用も徴収されます(農地法第51条)。

申請する前に、農地がある農業委員会に相談するのがおすすめです。

たとえ申請に通ったとしても、農地があまりにも広すぎる場合は、建築基準法を満たすために、建物が道路に接するよう整備する必要があります。農地転用の実績がある不動産会社であれば、どのように進めるべきかアドバイスしてくれるでしょう。

まとめ

倉庫を建て替えるときは、既存の建物を解体しなければならず、その際に、建設リサイクル法の申請や建物滅失登記などの手続きが発生します。

新たな建物を作るときは、用途地域で認められているものでなければいけません。倉庫を別の目的で使うときも、用途変更の手続きが必要です。