事業用不動産購入の流れとポイントをつかもう!

資産運用のひとつとして、事業用不動産の購入と運用を考えている個人投資家もいるでしょう。アパートやマンションなどの不動産投資はよく知られていますが、資産運用を考えるなら事業用不動産も狙い目です。

この記事では、事業用不動産の購入から運用を考えている投資家向けに、事業用不動産購入の流れやポイントを解説します。

事業用不動産を購入する際の流れ

はじめての事業用不動産の購入で何からはじめて良いかわからない人もいることでしょう。まず、事業用不動産を購入する流れを説明します。

流れ

事業用不動産を購入する流れは、おおまかに以下の5ステップに分けられます。

1.情報を集める
2.購入候補の物件に買付証明書を提出する
3.事前審査を受ける(ローンを組む場合)
4.売買契約を締結する
5.物件の引き渡し(運用または経営開始)

■1.情報収集
何となく良さそうな物件を購入して運用をはじめても失敗する可能性は高いです。理由は何の情報もないまま不動産を取得すると、収益性や需要のない物件を購入することもあるため。事業用不動産に関する情報は、購入する前に集めておく必要があります。

まず情報を集める際に考えたいのが、どのような種類の事業用不動産で運用するかです。後述しますが、事業用不動産にもさまざまな種類があります。どのような目的で事業用不動産を持つか考えながら絞り込みましょう。

ある程度絞り込みを行ったら、物件を選定します。選定方法は、資料請求を行い物件の詳細を確認する、現地に足を運び内覧するなどです。事業用不動産を扱っている不動産会社に相談をすれば、希望に応じた物件を紹介してもらえる可能性もあります。

先に専門会社と繋がっておくと、募集前の物件物件情報を手に入れることもできるのでおすすめです。

情報収集時には、収支のシミュレーションなども行い、購入後の運用に問題はなさそうかも合わせて確認しておきましょう。

■2.購入候補の物件に買付証明書を提出
購入したい物件を絞ったら、購入候補の物件の売主である不動産会社に、買付証明書を提出します。買付証明書とは、買付証明書記載の条件で購入する意思があることを示す書類のこと。希望する購入価格、契約締結予定日、引渡し希望日などを記入します。

買付証明書は法的拘束力をもつ書類ではありませんが、不動産は1件あたりの取引価額が高額なため、買付証明書を売主に提出するのが慣習です。

買付証明書を提出することによって優先的に物件の交渉ができることがあります。たとえば、同程度の条件であれば、先に買付証明書を提出した購入希望者の契約が優先される可能性が高いです。

なお、買付証明書には法的拘束力がありません。契約を締結するまでは、物件の購入をキャンセルできます。

■3.ローンを組む場合は契約前に事前審査を受ける
購入資金が不足する場合は、ローンを組むことが多いです。ローンを組む場合は、不動産の契約前に事前審査を受けるようにしましょう。

なお、事業用不動産は、一般的な住宅ローンとは異なります。住宅ローンは、自身が住む住宅についての融資ですが、不動産投資ローンは事業への融資だからです。本人の返済能力だけでなく、事業としての展望や継続性も審査内容に入ります。

事業の融資として見られるため、一般的な住宅ローンよりも必要な書類が多いのが特徴です。身分証明書や源泉徴収票などの個人や個人の返済能力を示す書類だけでなく、投資物件の概要について書類、公図、家賃表などが必要です。

具体的な書類は金融機関によって異なりますので、確認し、事前審査までにそろえておきます。

■4.売買契約の締結
先に提出した買付証明書の条件で合意したら、売買契約書の作成と締結です。この段階で、事業用不動産の購入が成立します。売買契約締結時に手付金を支払うのが一般的です。

不動産投資ローンを利用する場合は、仮審査の段階でストップしている状態ですので、売買契約が締結した段階で本審査に移ります。

■5.物件の引き渡し・経営
ローンの本審査が終わり、金融機関からの承認があれば、手付金を差し引いた残金の入金、物件の引き渡しです。この段階ではじめて、物件を所有し投資や経営を開始できます。物件を貸し出す場合、入居者募集やクレーム対応などは管理会社に依頼することが多いです。

事業用不動産の種類をつかもう!

事業用不動産の購入では、はじめの情報収集が重要です。この項では、事業用不動産購入の前に知っておきたい事業用不動産の種類を説明します。

商業系物件

事業用不動産のうち代表的なのが、商業系物件です。事業として使用される物件で、貸オフィスや貸事務所を目的としたオフィスビスの購入、工場、倉庫、マンガ喫茶や飲食店などの出店に利用する店舗の購入が挙げられます。

事業経営、または事業者向けの貸し物件として購入するケースが多く、中長期的な計画が必要不可欠です。アパートやマンションなどの住宅系の物件と比較すると、活用の幅が広がります。

その他

所有する物件をホテルやゲストハウスなどのレジャー業者に貸し出すことも可能です。住宅系物件の購入と少し似ていますが、企業の社宅として貸し出すこともできます。

企業の社宅として貸し出す場合、個人に住まいを貸し出すのと異なるのは、契約者となる企業がかかわってくることです。個人との契約でなく、企業との契約となるため、定期借家は難しいなどの条件はありますが、家賃の回収リスクを減らすメリットがあります。

以上のように、事業用不動産はさまざまな活用が可能です。物件を所有したあとどのように経営していきたいか明確にし、事業用不動産の種類を決めます。

事業用不動産購入の際に押さえておくべきポイント

次に、事業用不動産の購入にあたって、押さえておきたいポイントを説明します。

綿密な収支計画を立てる

購入者が住むために購入する居住用不動産であれば、購入によりすべてが完了します。ローンを利用する場合は返済計画を立てて返済していく必要がありますが、考えることといえばローンの返済程度です。

しかし、事業用不動産は購入してからがスタート。物件を貸し出して運用すること、あるいは売却することで利益を得ることが目的の物件ですので、収支計画が必要です。売上高やランニングコスト、利益、キャッシュフローなどを予測し、綿密な収支計画書を作成します。

収支計画書は、不動産投資ローンを組む場合、金融機関に提出する書類としても必要ですが、本当に利益が上げられるのか経営をシミュレーションするにも重要です。

ただし、綿密な収支計画書の作成、シミュレーションははじめて事業用不動産をもつ人にとって難しい面もあります。運用の相談ができる、事業用不動産の運用に詳しい相談先を見つけるのがおすすめです。

相談先としては、たとえば、建築士やFPなどの専門家、不動産コンサルタントなどが考えられます。タープ不動産情報も相談先としておすすめです。

専門家とのネットワークがあり、事業用不動産の取引や管理に実績のあるタープ不動産情報なら、お客様にあった情報を提供できます。事業用不動産の購入を検討しているなら、タープ不動産情報へご相談ください。

リスクを踏まえて対策を講じる

事業用不動産の運用にはいくつかのリスクがあります。代表的なのが以下のようなリスクです。

■空室リスク
事業用不動産は種類によって、需要が異なります。物件の種類に応じた需要のある不動産でないと借り手がなかなか見つからないこともあるでしょう。

■金利上昇リスク
金利上昇リスクは、融資を受けて事業用不動産を購入するときに注意したいリスクです。不動産投資ローンで変動金利のローンを利用していると、返済の途中で金利が上がることがあります。

変動金利は市場金利の低いときはメリットがありますが、市場金利が上昇した場合は、ローン返済の金利も上昇する点に注意しなければなりません。変動金利の不動産投資ローンを利用する際は、金利の上昇も見越して返済計画を立てるべきです。

■税務上のリスク
不動産の購入や運用にはさまざまな税金が関係してきます。購入時なら、不動産取得税や登録免許税、運用中は固定資産税や都市計画税、所得税などの納税の義務が発生することもあるでしょう。申告漏れや納税漏れがないように管理することが重要です。

以上、事業用不動産の運用にはさまざまなリスクがあります。リスクを事前に把握し、対策を立てておくようにしましょう。

まとめ

事業用不動産を購入する際はひととおりの流れや不動産の種類、注意点をしっかり把握しておくことが重要です。事業用不動産の購入に不安がある場合は、事業用不動産の取引や運用に実績のある専門家や不動産会社などに相談することをおすすめします。